生産コストDI 過去最悪の▲88.0ポイント 農業景況調査結果・日本公庫調査2022年9月22日
日本政策金融公庫は9月21日、担い手農業者を対象にした「農業景況調査」結果を公表した。生産コストの負担感は▲88.0ポイントと過去最悪となった。
調査は7月に実施し約6700の担い手から回答を得た。
生産コストDIはコストが「下がった」とする回答から「上がった」とする回答を引いた指数。2022年度上半期(1~6月)の実績は前年の▲68.1から19.9ポイント低下し▲88.0となった。
全業種で▲70.0以下の大幅なマイナス値となり過去最悪水準となった。酪農や肉用牛、採卵鶏など畜産では▲90.0以上となっている。
農業景況DIは農業経営が「良くなった・良くなる」との回答から「悪くなった・悪くなる」との回答を引いた指数。上半期実績は前年実績から13.3ポイント低下し▲42.9となった。
2022年通年の景況DIの見通しはさらに12.2ポイント低下し▲55.1となった。日本公庫によると通年実績を調査する1月調査でこれほど低水準の結果はなく「このままでいけば過去最低になる」としている。収支DIも前年実績から13.7ポイント低下し▲48.8となり、すべての業種でマイナス値となった。生産コスト増が農業経営に大きな打撃を与えていることが示された。
今回は原材料費高騰の状況と今後の対策についても聞いた。
肥料費が「前年比30%以上増加」という回答は耕種全体で40.9%となった。このうち「同50%以上増加」は、畑作(31.3%)、北海道の稲作(28.5%)、露地野菜(21.7%)の順で高かった。
農薬・薬品費が「同30%以上増加」は農業全体で20.6%。燃料動力費が「同30%以上増加」は農業全体で34.4%となった。
飼料費が「同30%以上増加」は畜産経営で62.4%となった。「同50%以上増加」は養豚(38.3%)、採卵鶏(37.6%)、都府県酪農(24.9%)の順で高くなった。
原材料の高騰に対する対策では「補助金・価格補てん等の利用」(40.2%)、「まとめ買いなど仕入れロットの変更」(37.9%)、「仕入れ先等との価格交渉」(35.6%)の順で高かった。
農業全体では「販売価格への転嫁」は17.7%と低くコスト増をなかなか価格に反映させられない実態が示されたが、果樹、施設花き、きのこ、採卵鶏では40%~60%と比較的高くなっている。
日本公庫の農業景況調査は1996年から実施され、年2回(1月と7月)に行われている。約2万3000の農業経営体を対象にしている。
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