「自給率より自給力を」「外資の農地買収対策も」 自民党で基本法の検証・見直し議論本格化2022年10月20日
自民党の食料安全保障に関する検討委員会(森山裕委員長)が10月20日、開かれ、「食料・農業・農村基本法」の検証見直しに向けた議論を交わした。基本法制定から20年余りを経て農業を取り巻く情勢が大きく変化する中、各委員からは「担い手不足が深刻化する中、国が主体的に労働力確保に取り組むべき」「自給率より自給力をしっかり位置づけるべき」「外資の農地買収対策も盛り込むべきだ」などと幅広い意見・要望が出された。自民党は今後、森山委員長の下にプロジェクトチームを設置して集中的に議論を進める方針。
自民党の食料安全保障に関する検討委員会
委員会では、はじめに森山委員長が「5月に取りまとめた食糧安保強化に向けた政府への提言で、幅広い観点で基本法の検証作業を本格化すべき旨を盛り込んだ。引き続き党でも基本法の検証見直しに向けてしっかり議論を重ねて論点を整理する必要があり、精力的な議論をお願いしたい」と挨拶した。
会合では、農水省の担当者から1999年に制定された基本法の検証見直しが求められる背景について報告され、生産者の減少や高齢化をはじめ食料安全保障のリスクの高まり、食料や肥料原料の輸入状況の推移などが説明された。これを踏まえて各委員が、基本法の検証見直しに向けた意見や要望を出した。
この中では、農業者人口の減少などを踏まえて、「20年前との大きな違いは人口減少だが、世界的には人口が増えており、海外も見据えて産業としてしっかり農業を育てる必要がある」「自給率も課題だがむしろ自給力を高めることをしっかり位置づけるべきだ」「国が主体的に労働力確保に取り組むべきだ」といった意見が上がった。
また、「外資による農地獲得が激しくなると考えられ、農地買収の防衛も盛り込むべきだ」との声や、厳しい中山間地域の状況に触れて、「日本の農地の4割を占める中山間地域も大事にしてほしい。生産性を高めて人を増やすくらいの『攻めの農業』の展開を考えてほしい」との要望も上がった。
さらに、JAグループが国消国産の推進を進めていることも踏まえ、「農業に携わっていない国民の理解を高めることも必要であり、国内の需要拡大対策が重要だ」と指摘する意見もあった。
自民党では、今後、森山委員長の下にプロジェクトチームを設置して基本法の検証・見直しに向けた集中的な議論を進め、年内に党として見直し検証の論点の方向性について整理したいとしている。
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