日本の水田技術 アジアに発信 国際委員会を設置 農水省2022年10月26日
農林水産省は「みどり戦略」を推進する基盤農業技術をアジアモンスーン地域で確立、共有するため科学者で構成する「国際科学諮問委員会」の第1回会合を10月25日に東京都内で開いた。
同省は今年度からアジアモンスーン地域で環境問題に対応し持続可能な農業技術を共有するため、国際連携と情報発信に取り組んでいる。
4月には国際農研に最新の研究成果の情報収集と分析を行う「みどりの食料システム国際情報センター」を設置、今回はアジアモンスーン地域で共有できる技術について助言を得るため「国際科学諮問委員会」を設置した。
委員会は年2回開催の予定で委員会の助言のもとでアジアモンスーン地域で共有できる基盤農業技術を明らかにし、国際会議などで発信し、環境に配慮した農業についての国際ルールメーキングにも関与する。
第1回の会合では中干し延長や間断かんがい技術がメタン削減を実現する技術として日本側から発信した。水を張った水田では土壌中の酸素が減少し、二酸化炭素の約25倍の温室効果があるメタンが発生する。そのほか少ない肥料でも育つBNI作物も紹介した。
開会のあいさつで小川良介農林水産審議官は中干し期間を1週間延ばすとメタン排出量を大きく減らすことが分かったことや、東南アジアで節水のために行われている「間断かんがい技術」もメタンを抑制する技術として普及が期待されていると述べた。
そのうえで環境問題に対応した万能の解決策はなく、さまざまな地域環境のもとで取り組まれている農業技術を収集、分析し、広めていく努力が持続可能な農業実現につながるとして委員会メンバーの助言は不可欠だと話した。
委員は中国、フィリピン、マレーシアなど研究機関のトップ層で7人が務める。委員らは26日、千葉県印旛沼の水田を視察する。
農水省はアジアモンスーン地域で気候変動の緩和と持続的農業への転換を進めるため国内外の研究機関のネットワークを活用し、わが国の有望な基盤農業技術を各地で応用研究する事業も進める。
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