カビの生えた米に検査証 日本穀物検定協会に業務停止命令検討 農水省2022年12月23日
農水省は12月23日、日本穀物検定協会がカビの生えた輸入米などを検査しないまま検査証明書を交付するなど不適正な農産物検査を行っていたとして、農産物検査法にもとづく改善命令や業停止命令を出すことが適当だとして来年1月に公開で聴聞を行うと発表した。輸入農産物の検査をめぐって業務停止命令が出されれば初のケース。当該の米は政府が管理し、市場には流通していない。
農水省によると、同協会の関西神戸支部管内で今年7月、タイから輸入されたMA米約2800トンを陸上げ中に雨で一部が濡れたため、濡れた米を除いて再検査すべきところ、再検査しないまま検査証を交付した。また8月には、アメリカからのMA米約900トンのうちカビが生えた品質異常の米があったにもかかわらず、品質に問題のない米のみを検査して全量について検査証を交付した。
その後、改めて協会で検査したところ、タイからの輸入米に異常はなかったが、アメリカからの輸入米のうち630キロにカビの損傷など異常が確認されたという。ただし、当該の米は政府が所有米として管理しており、市場には流通していない。
農水省の説明によると、現場の担当者は米の再検査を指示したものの、検査が行われずうやむやのまま検査証明書が交付されていたという。不適正な検査が行われたことは今年9月に同協会で内部通報があり、農水省に報告があった。
同省は、「登録検査機関としてあるまじき行為だ」として、農産物検査法に基づく改善命令と業務停止命令を行うことが適当と判断、来月13日に聴聞を実施することを決めた。農産物検査をめぐる業務停止命令はこれまでに例がないが、今回、処分の対象となるのは、輸入米の検査に関する業務に限られるという。
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