営農型太陽光発電 約2割が営農に支障 農水省2023年3月8日
農林水産省は「農地法制の在り方に関する研究会」に営農型太陽光発電の現状と課題を説明、約2割が太陽光パネルの下部農地での営農に支障が発生しているという。
営農型太陽光発電は、農地に支柱を立てて上部空間に太陽光パネルを設置し、農業生産と発電を両立させる仕組みで、支柱の基礎部分は農地の一時転用許可を必要とする。
農水省の農村計画課が令和2年度末に2535件の営農型太陽光発電設備を調べたところ、458件、18%が下部農地での営農に支障が出ていた。
このうちもっとも多いのが単収の減少で73%を占め、地域単収の0~20%未満が5割を超した。
一時転用については期間を原則3年(担い手が営農する場合は10年)とし、営農については「地域の平均的な単収と比較しておおむね2割以上減収しないこと」を農村振興局長が通知し、要件としている。太陽光パネル下部の農地での農産物の生産状況は毎年報告しなければならない。
単収が大幅に減少している場合に農業委員会などが指導しているが、自治体からは「具体的にどのような改善指導や是正指導を実施していくことが適切か。具体的なガイドラインが欲しい」、「通知に基づく運用では限界がある」、「パネル下部のみ管理してそれ以外の農地部分を適正に管理しない事業者がでてきている」。「農地全面を効率的に使用して営農されること、が担保される仕組みが必要ではないか」との要望が寄せられている。
2月20日の会合では、「単収8割要件の基準となる地域の平均的単収の判断手法の確立」が必要との指摘や、違反転用者の氏名の公表や違反転用者情報の自治体間での共有などが必要だとする意見も有識者から出ている。
意見交換では「毎年の実績報告書を法定化し遵守しない場合は許可を取り消しできる仕組みとすべき」、「地域計画内の農地は原則、営農型太陽光発電を禁止したうえで、地域合意が得られた場合に例外的に認めるべき」、「違反転用者の氏名の公表など厳罰化を図るとともに、農業関係者以外の人も入ったうえで農地をどう管理すべきかを考えていくべき」などの意見が出されている。
そのほか、許可期間中のモニタリングや問題がある場合の是正措置の在り方や、再許可の際の許可基準について「法制化を含めて幅広く検討していく必要がある」など、規制を求める意見や、「農地政策上の位置づけ」を整理すべきとの指摘もある。
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