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多様な担い手 位置づけで議論 基本法検証部会2023年3月28日

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農林水産省は3月27日に農政審基本法検証部会を開いた。テーマは「農業」で農水省は今後20年を見据えた農業施策の方向を整理し提示した。

第12回基本法検証部会第12回基本法検証部会

担い手をどう考えるか

現行基本法では「効率的かつ安定的な農業経営」が農業生産の相当部分を担う農業構造の確立することを掲げ、「専ら農業を営む者」や経営意欲のある者を支援し、それによって家族農業の活性化と法人化を推進していく方針を示している。

農水省は今後、農業者が大幅に減少することが予想され、相当少ない農業経営体が食料の安定供給を担っていかなければならないとして、引き続き経営意欲のある個人経営の発展を支援するとともに、農業法人の経営基盤の強化のための施策を実施する考えを示した。

家族経営については、農地をはじめとした経営基盤が第三者を含め円滑に継承されるための対策を講じることも盛り込む。
これに対してJA全中の中家徹会長は離農による農地の受け皿となる経営体は大事だが「大規模経営だけで地域農業はまわっていかないのが現状。兼業農家や半農半Xなど、多様な経営体の明確な位置づけが必要」との考えを述べたほか、群馬県甘楽町の茂原荘一町長も「兼業農家も担い手。半農半Xも農村政策ではなく農業政策で位置づけるべき」と主張した。

多様な担い手めぐり議論

一方、アグリフューチャージャパンの合瀬宏毅理事長は、農業で生計を立てるにはそれなりの価格が必要な農業者にとって、産地では「生きがい農業」だからと直売所で安く販売している実態があり、「農業で食べていこうとしている人が苦労している」との実態を指摘。一方で「農村の暮らしで高齢者にとって農業は重要。健康維持に価値がある」と山浦昌浩全国農業青年クラブ連絡協議会会長は話した。

多様な人材の参画が農業には必要との意見は多いが観点の違いも明らかになり、「多様な経営体の定義や政策上の位置づけをはっきりすべき」(三輪泰史日本総研エクスパート)などと、さらに議論する必要性も示された。

また、柚木茂夫全国農業会議所専務は担い手としてとくに中山間地域での集落営農組織の役割が重要だとし、その法人化の支援は今後とも重要と指摘した。

そのほか農作業受託やスマート農機による肥培管理などを請け負うサービス事業体は、離農による農地の集約が進み、一方で労力が不足するなかで必要とされる事業体だが、これを担い手と位置づけるかでも意見交換し、担い手経営体とは言えないとの意見の一方、こうした周辺の業態が農家支援に回る必要性は今後高まるとして政策的に位置づけるべきとの意見もあった。

国産農産物の増大を

「需要に応じた生産」も論点であり、農水省は小麦、大豆、飼料作物について「国内生産の増大を積極的かつ効率的に図っていく」方針を示した。また、加工・業務用米や米粉用米など、需要の高まりが今後も見込まれる作物について「水田の畑地化・汎用化」など総合的な推進を通じて積極的に生産拡大を図っていくとしている。

この方針について日本農業法人協会の齋藤一志副会長は「国内農業を拡大し自給率を大幅に上げる施策を。麦、大豆、ソバの生産奨励のためにゲタ対策の単価を修正して生産転換の後押しを」と個別品目の支援策の具体化を求めた。

中家JA全中会長は「国内生産の増大は農産物全体とすべき」と小麦や大豆など品目を限定することに異論を唱えた。そのほか農地確保は国が責任を持っておこなうべきことや、「農地造成も必要」と指摘した。また、収入保険では生産資材コストが高騰している現在のような状況では経営安定対策として不十分で「経営安定対策」の検討を求めた。

人材の育成・確保では外国人材も含めた雇用労働力の確保のための環境整備や女性農業経営者の育成の推進も課題とした。そのなかで「生活者の視点を持つ女性農業者」との記述に清原昭子福山大教授は「生活者の視点は男性も必要だ」と指摘した。

次回は4月14日に農村と環境をテーマに議論する。みどり戦略の位置づけなども論点になる。

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