米の現物市場 2者が開設意向 秋に取引開始2023年4月5日
米の現物市場の開設には2つの開設主体が意向を示しており、農水省は3月末に両市場の概要をまとめた。
米の需給実態を示す価格指標としての現物市場が存在していないことから、農水省は農業団体をはじめ関係者で米の現物市場検討会を2021年に立ち上げて議論し、昨年3月には多様な取引需要をマッチングし納得感のある取引を実現する場でとして設計し、取引量と取引価格に関する情報を生産者を始めとする関係者への需給シグナルとして伝達することなど概要を決めた。
その後、昨年11月に公益財団法人流通経済研究所が開設意向を表明した。
同研究所は別会社として「みらい米市場」を設立、米の玄米取引をターゲットとする市場を検討している。大ロット取引と小ロット取引(高付加価値米)の両方に対応する構想。
大ロットでの相対取引は実需者から売り手(生産者、出荷団体、卸)へオーダー形式での対応で、希望品種と量、価格、納入条件などを注文し、売り手は注文画面上で交渉・相談する。
一方、小ロットの高付加価値米などの取引は、生産者の値づけを基にしたオークション形式とする。品種と産年、納期、数量などの情報を提示し、価格はセリ販売で決め注文画面には現在価格として1俵1万5000円などと表示される。買い手は画面で入札に参加する。
ただ、当初のメインターゲットは小口取引の食用・加工用米を対象とする。
また、受発注に関する発注書、納品書、受領書、請求書など帳票データをクラウド上で送付することができる仕組みとする。決済も当事者間で決めた直接支払いなどの決済のほか、市場の決済システムを介した決済も可能とする。
売り手、買い手双方が取引実績に基づき、商品・取引参加者を5段階で評価するシステムも構築するほか、一定期間の取引総量や取引価格帯など相場などの分析情報も提供する。
流通経済研究所は昭和38年に任意団体として発足。平成25年に公益財団法人に改組した。流通・マーケティング分野で活動している。
もう1つ開設意向を表明しているのが石川県の農業生産法人(株)ぶった農産だ。
農業者起点による「価格形成力を創造するコメ現物市場の創設」が設立の理念。キーワードに再生産可能な価格形成、価格競争から価値の共創へ、食料の自給と安全保障などを掲げる。
出品者は農業者、農協、産地集荷業者で買参者は外食、給食、スーパーマーケット、ネットビジネスなど。出品商品は玄米と精米。GAPや肥料削減、有機栽培、特別栽培、循環型生産などの農業者の取り組みや、コメの品質データなどを評価する市場とする。
グーグルフォームに出品情報を登録する取引方法や市場への関与の度合に応じて正会員、準会員など会員登録をする。生産者と実需者、消費者のコミュニケーションができる現物市場をめざすという。
ぶった農産は昭和63年に有限会社として発足。平成13年に(株)ぶった農産に改組。水稲、野菜等の栽培、水稲の農作業請負、農産加工などを行っている。
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