「多様な経営体」 基本法に明記を 中家全中会長2023年4月7日
JA全中の中家徹会長は4月6日の定例会見で食料・農業・農村基本法の見直しについて「地域農業は大規模農家だけで守っていけない」として「多様な経営体」を基本法に位置づけるべきなど見直しの重点についての考えを示した。
JAグループは基本法の見直しについて組織協議を続けており5月11日の全中理事会で政策提案を決定し、12日には食料・農業・地域政策推進全国大会を開き政策提案の実現に向け政府、与党などへ働きかける。
会見で中家会長は基本法に盛り込むべき基本的な考え方として以下の点を強調した。
1つ目は「輸入依存から国産農畜産物への切り換え」を明記することで、自給率向上と「食料安全保障の必要不可欠だ」と指摘する。
2つ目は「再生産に配慮された適正な価格形成」。生産資材価格の高騰などコスト上昇を販売価格に転嫁することが必要との意見は今回の基本法見直しの議論のなかで当初から指摘されていた。ただ、農水省がこれまでに示した考え方では「適正な価格形成」とされており、中家会長は「再生産に配慮された」との文言を加え、適正な価格についてより具体化するべきとの考えだ。
また、価格転嫁が実現できなかった場合に経営安定対策を講じることや、資材高騰など生産コストの急激な変動による農業経営への影響を緩和する対策を講じることも基本法に明記すべきとしている。
3つ目は日本の農業像だ。中家会長は「多様な経営体による創意工夫を活かした農業」を基本法に盛り込むべきだとする。地域農業は大規模農家だけで守れず、兼業農家や定年帰農者、さらに半農半Xなど「いろいろな方で日本農業は成り立っている。今後もその方向だろう」と話す。
一方、基本検証部会の議論では、現行基本法がめざす「専ら農業を営む者による農業経営」が相当部分を担う農業像について「まったく変える必要はない」との意見もある。中家会長は「委員のなかには異論もあるが、徹底して主張し(多様な経営体という)文言を加えてもらうよう働きかけていきたい。今回の見直しの重要な項目だ」と強調した。
また「基本計画」については、計画の実践が重要だとして「基本計画のなかに進捗状況を検証することを明記してはどうか」と今後の議論で提唱していく考えを示した。
基本法検証部会は4月14日に「農村・環境」、4月28日に「基本計画」をテーマに議論して一区切りとなる。5月19日にとりまとめに向けた議論が再開される予定になっている。
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