タイ向け日本産かんきつ類 検疫条件が緩和 輸出に取り組みやすく 農水省2023年5月15日
農林水産省は5月12日、タイ向けに輸出される日本産かんきつ類の検疫条件が緩和されたことを発表した。これまでタイの植物検疫当局との間で、タイ向け日本産かんきつ類の検疫条件に関する協議を重ねてきた結果、タイ側から求められていたかんきつ類の病気に対する検疫条件が緩和された。
日本産かんきつ類生果実のタイへの輸出については、病気(SweetOrangeScab(SOS))に対する防カビ処理及びワックス処理が条件となっていた。
これについて、産地から選果場の負担が大きいため緩和してほしい旨の要望があったことから、農水省は「農林水産物及び食品の輸出促進に関する実行計画」に基づき、2018年(平成30年)からタイの植物検疫当局との間で代替措置に関する協議を重ねてきた。
その結果、防カビ処理及びワックス処理を生産園地での適正防除、植物防疫官による栽培地検査及び選果こん包施設での目視検査により代替しても、タイへの病気の侵入リスクが十分抑えられることが認められたことから、当該代替措置による日本産かんきつ類生果実のタイへの輸出が可能となった。
今回追加された代替措置を含むタイ向け日本産かんきつ類生果実の輸出検疫条件の概要は次の通り。
<対象植物>
うんしゅうみかん、不知火、清見、なつみかん、いよかん、はっさく、せとか及び天草の生果実
<主な検疫対象病害虫>
ミカンバエ、SweetOrangeScab(SOS)
<主な検疫条件>
(1)生産地域の指定
生産地域は、日本の植物防疫所により、3年以上の発生調査(トラップ調査及び生果実調査)でミカンバエの発生がないことの確認及び登録を受けた上で、タイの植物検疫当局による査察及び承認を受ける。また、指定生産地域内の生産園地は、日本の植物防疫所による登録を受ける。
※現在の指定生産地域
(静岡県藤枝市、三重県熊野市、御浜町、紀宝町及び福岡県八女市の一部地域)
(2)ミカンバエに対する措置の実施
4月1日から10月31日まで、登録生産園地及びその隣接地域において、発生調査(トラップ調査及び生果実調査)でミカンバエの発生がないことを植物防疫官が確認する。
(3)SOSに対する措置の実施
〇オプションA(現行措置)
・水洗
・ブラッシング
・表面殺菌(次亜塩素酸ナトリウム等)
・防カビ処理(チアベンダゾール(TBZ)
又はイマザリル)
・ワックス処理
■オプションB(今回追加された措置)
・水洗
・ブラッシング
・表面殺菌(次亜塩素酸ナトリウム等)
・生産園地での薬剤による適正防除
・植物防疫官による生産園地での栽培
地検査(年2回)
・植物防疫所が実施する研修を受けた
選果技術員による登録選果こん包施
設での全量の目視検査
※生産園地毎にオプションA又はオプションBいずれかを選択。
(4)輸出検査の実施
・3年以上の輸出実績がある指定生産地域(令和5年5月12日現在、静岡県藤枝市、三重県熊野市、御浜町及び紀宝町)
日本の植物防疫官が病害虫の付着がないことを目視により確認し、合格した場合は、植物検疫証明書を発給する。なお、少なくとも年に1回は、タイ側の査察を受ける必要がある。
・上記以外の指定生産地域(令和5年5月12日現在、福岡県八女市)
日本及びタイの植物防疫官が病害虫の付着がないことを目視により合同で確認し、合格した場合は、植物検疫証明書を発給する。
(5)輸出可能期間
11月1日から3月31日
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