「適正な価格形成」へ関係者協議の場創設を 基本法見直しへ自民党が提言案2023年5月17日
自民党の総合農林政策調査会・食料安全保障に関する検討委員会・農林部会の合同会議が5月17日、開かれ、食料・農業・農村基本法の見直しに関する提言案が示された。国内の食料安保の状況を平時から定期的に評価する仕組みの検討や、農産物の適正な価格形成に向けて、幅広く関係者が協議できる場の創設などを盛り込んだ。近く岸田文雄首相に提出される。
自民党の農林合同会議
農林合同会議では、冒頭、食料安全保障検討委員会の森山裕委員長が「岸田総理が新自由主義からの脱却や新しい民主主義の構築と言っていることに沿った基本法にしないといけない。農水省のみなさんにはそこを中心に据えて提言をまとめた重みをぜひわかってほしい」などと強調した。
提言案では、基本的な考え方として、気候変動による食料生産の不安定化や人口増加に伴う食料争奪の激化、食料の「武器化」などで安価に輸入できる状況が続かないことが明白だとして、食料安保を抜本的に強化する政策の確立が必要だと指摘している。
そのうえで食料安保について、イギリスの事例なども参考に平時から国内の食料供給力の状況などを示す様々な指標を活用・分析し、食料安保の状況を定期的に評価する仕組みの検討を求めている。
生産資材の確保・安定供給に向けては、過度な輸入依存を減らすため、国内資源の利用拡大を進めることや、特に肥料については肥料原料の備蓄強化とともに価格急落時には価格転嫁が間に合わない高騰分の補てん対策を明確化して対応することを盛り込んだ。
また、生産者から要望の強い「適正な価格形成」に向けては、生産から消費まで食料システムの各段階の関係者が協議できる場を創設し、関係者の合意の下でコスト指標を作成して価格転嫁される仕組みの構築を求めている。
さらに「多様な農業人材の育成・確保」について、「受け皿となる経営体と付加価値向上を目指す経営体」が円滑に生産基盤を継承できる環境の整備が不可欠だとして、離農農家が出た場合に農地を引き受けやすくする仕組みの検討や、多様な経営体に経営・技術などをサポートするサービス事業体の育成・確保を図る仕組みの検討などを盛り込んでいる。
この提言案に対し、会議では各委員から「食料の供給側に働きかける内容が中心だが、食料危機が迫る中で消費する側の意識も問題であり、国消国産についても盛り込んでほしい」という要望や「国民理解の醸成のためには食農教育の全国展開が必要であり、位置づけを考えてほしい」などといった意見が相次いだ。
自民党は、会議で出された意見も踏まえて文言を調整して提言をまとめ、近く岸田首相に提出することにしている。
重要な記事
最新の記事
-
【第45回農協人文化賞】人との出会いに感謝 福島県・会津よつば農協組合長 原喜代志氏2024年8月14日
-
【第45回農協人文化賞】努力する人は希望を語る 共済事業部門 鳥取県・JA鳥取西部前代表理事専務 植田秋博氏2024年8月14日
-
【第45回農協人文化賞】「なくてはならない」組織に 経済事業部門 JA岡山会長 宮武博氏2024年8月13日
-
【第45回農協人文化賞】全ては組合員のために 経済事業部門・JA全農ぐんま 前副会長 大澤孝志氏2024年8月13日
-
関東早場米も店頭5㌔2500円以上が売価に【熊野孝文・米マーケット情報】2024年8月13日
-
【第45回農協人文化賞】きのこが健康けん引確信 営農経済部門・日本きのこマイスター協会理事長 前澤憲雄氏(長野県)2024年8月10日
-
【第45回農協人文化賞】土づくりへのこだわり 営農経済部門 秋田県・JA秋田しんせい前常務 高橋徹氏2024年8月10日
-
シンとんぼ(105) -みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(15)-2024年8月10日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(22)【防除学習帖】 第261回2024年8月10日
-
土壌診断の基礎知識(31)【今さら聞けない営農情報】第261回2024年8月10日
-
【第45回農協人文化賞】「小さな協同」の実践を目指して 一般文化部門 長野・JA松本ハイランド組合長 田中均氏2024年8月9日
-
【第45回農協人文化賞】「草の根運動」とともに 一般文化部門・JA広島中央会元専務 坂本和博氏2024年8月9日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 香川県2024年8月9日
-
【注意報】果樹カメムシ類急増で被害多発のおそれ 滋賀県2024年8月9日
-
【注意報】ミニトマト、トマトにトマト黄化葉巻病 県中部で多発のおそれ 和歌山県2024年8月9日
-
【注意報】ネギ、ブロッコリー、ダイズにシロイチモジヨトウ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2024年8月9日
-
(396)首都の場所:赤道ギニア共和国【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年8月9日
-
【'24新組合長に聞く】JA碓氷安中(群馬県)戸塚勉組合長 野菜のブランド産地へ (5/31就任)2024年8月9日
-
米の品種や食味などを分析 米品質診断パッケージ、キャンペーンを実施中 サタケ2024年8月9日
-
北海道産赤肉メロンのパフェとかき氷 期間限定で登場 銀座コージーコーナー2024年8月9日