農業法人 経営課題は「資材コスト」 2年連続でトップ 農業法人白書2023年5月29日
日本農業法人協会は5月24日に「2022年版農業法人白書」を発表した。経営課題として「資材コスト」が2年連続で1位となった。
会員の2068法人を対象に昨年10月から今年2月にかけて実態調査を実施し、その結果を取りまとめた。
現在の経営課題を聞いたところ、「資材コスト」が63.4%と最も多く、2年連続で1位となった。ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や円安などで農業用資材価格が高止まりしていることがうかがえる。畜産では77.2%となった。
一方、長年経営課題のトップだった「労働力」は2位となったが、野菜や果樹では引き続き1位となった。
資材コストの高騰を背景に「価格転嫁ができない」という課題も挙がっている。
経営のリスクは「生産コストの上昇」(79.2%)、「生産物価格の下落」(45.7%)、「労働力の不足」(37.8%)が上位を示めている。
経営リスクに対する対策は「複数販路の確保」が60.8%と最も多く、次いで「収入保険への加入」39.1%、「多品目生産」31.6%などとなっている。
収入保険への加入状況は、売上規模5000万円未満層では52.3%だが、売上規模が大きくなるにつれ「未加入」の割合が増え、10億円以上層では未加入割合が82.5%となっている。
会員の平均売上高は3億7558万円となり、調査開始以来、過去最高を記録した。10年前と比べて約131%、8800万円増えた。前年比では31.9%が増収と回答した。
平均経営規模は全国平均と比べ、稲作で約36倍、露地野菜で約34倍、肉用牛で約29倍、酪農で約56倍となっている。
過去5年間、経営規模は概ね拡大傾向で、とくに稲作は5年前と比べ114.3%、平均75.6haへと規模拡大が急速に進んでいる。
今後1年間の規模拡大意向は「拡大したい」が土地利用型で48.7%、畜産で31.8%だった。経営の多角化に取り組む法人は71.6%と全国平均の8.2%を大きく上回る。
経営者の平均年齢は58.6歳で全国平均の67.8歳より9.2歳若い。前年の調査に比べて0.6歳若返った。
女性が経営に参画している割合は54.1%と全国平均の37.8%を16.3ポイント上回る。
スマート農業の導入割合は72.4%。そのうち稲作は82.3%、畜産は73.3%と多い。一方でスマート農業を導入しない理由としては「実情に合わない」、「初期投資が高額」という回答が多い。
輸出に取り組んでいる法人は7.5%。輸出先国は香港、シンガポール、台湾とアジア地域が続き、その次にアメリカとなっている。輸出金額は「100万円以上500万円未満」がもっとも多い。
金融機関との取引では日本公庫67.8%、銀行・信金67.0%、農協系統61.7%だった。今後の1年間の取引予定では日本公庫67.0%に次いで、農協系統64.5%となった。
持続的な農業生産に「すでに取り組んでいる」割合は53.7%だった。理由は「将来において農業を続けるため」が最も多い。
有機農業に「すでに取り組んでいる」割合は27.5%で全国平均の6.4%と比べ21.1ポイント上回っている。
再生可能エネルギーを「活用している」割合は24.1%で「太陽光発電」の導入が多い。
国産資材を「活用している」割合は80.6%。「堆肥の活用」がもっとも多い。
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