気候変動対応や強い地域づくりへ一体的な森林管理を 治山対策を初めて特集 森林・林業白書2023年5月30日
政府は5月30日、2022年度の森林・林業白書を閣議決定した。世界的な気候変動で大雨が頻発し、山地災害が激甚化する中、初めて「治山対策」を特集に取り上げた。これまでの治山対策による効果を紹介するとともに、気候変動への対応や災害に強い地域づくりに貢献するために、最新技術も活用した森林・林業の一体的な施策で森林を適切に管理保全する必要があることを強調している。
森林・林業白書では、24ページにわたって「気候変動に対応した治山対策」を特集で取り上げた。
この中では、はじめに地形が急峻で降水量が多い日本では戦後の治山対策などで森林の国土保全機能が高まってきた経緯に触れ、例えば長野県伊那谷で約60年前と同規模の集中豪雨を観測した事例では、山地災害発生箇所数が15%以下に減ったことを紹介している。
こうした中で、近年は気候変動で大雨が増加し、線状降水帯で山地災害が同時多発化するなど激甚化しているとして新たな対応に迫られていることを取り上げた。そしてこうした気候変動に対応するこれからの治山対策として、国土強靭化対策による治山ダムなどの設置をはじめ流域全体で水害を軽減する「流域治水」との連携、ドローンによる測量など最新技術を活用した効率的な取り組みを展開していく方針を紹介している。
また、森林をめぐっては、国土保全機能に加えて地球温暖化防止など多面的機能があり、治山対策だけでなく、森林整備事業や林道整備など一体的に森林を適切に管理保全することで災害に強い持続可能な地域づくりに貢献していくべきだと強調している。
このほかトピックスとしては、▽太陽光発電の適正な導入に向けた林地開発許可制度の見直し▽しいたけの植菌地を原産地とする表示がスタート▽林業従事者が生きがいを持って働ける魅力ある林業へ▽Jークレジット制度の活用等を通じて森林整備と企業等の脱炭素の取組の好循環を創出▽国有林野における樹木採取権制度による事業がスタート、の5つを取り上げた。
このうち太陽光発電をめぐっては、災害や景観への懸念から制度の見直しを求める声があることを踏まえて、2022年9月に森林施行例を改正し、林地開発への規制を強化し、規制規模を1ha超から0.5haに引き下げたことを紹介した。
林業従事者の確保に関しては、「林業労働力の確保の促進に関する基本方針」を2022年10月に変更し、「新しい林業」の実現に必要な造林やICT等の知識や技術、技能を持つ人材の確保・育成を推進することや、女性の活躍・定着の促進、外国人材の適正な受け入れなどが盛り込まれたことを紹介している。
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