飼料価格高騰で融資増 純損失は1188億円減 日本公庫2023年6月7日
日本政策金融公庫(日本公庫)は6月6日、2022年度決算を発表した。農林水産事業では飼料高騰など厳しい状況を受け融資実績が増加傾向にある。日本公庫は、融資後のフォローアップなどコンサルティング機能の発揮で農業者への支援を継続していくとしている。
経常収益は貸出金利息など資金運用収益1761億円、保険引受収益1781億円、政府補給金収入523億円で4169億円となった。
一方、経常費用は資金調達費用269億円、保険引受費用2439億円などで6857億円となった。
この結果、経常損失は2687億円となり、特別損益を含めた当期純損失は2687億円で前期比1188億円減少した。
総融資実績は3兆7871億円で前期末比23%減となった。総融資残高は28兆970億円で同4%減となった。
2020年度末はコロナ関連融資が増加し融資残高は前期末比12兆増えて29兆円を超えた。その後は減少傾向となっている。
ただし、農林水産事業においては飼料価格高騰など農業者の厳しい経営環境もと、融資実績は同111%、融資残高は同103%と増えている。
同公庫が実施した農業者の景況DI調査では22年度は▲39.1と前年から9.5ポイント低下し、1996年の調査開始以来の最低値となった。
こうした状況のなか、農林勘定では業績悪化や条件変更が発生し、リスク管理債権比率が前期末の3.72%から4.74%へと上昇している。
記者会見で田中一穂総裁は「飼料や肥料のかつてない高騰に直面している。この国が経験したことがないほど事業環境の悪化に見舞われていると思う」と述べるとともに、担い手を中心とした融資など農業金融の約4割を占める公庫として「政府とともに責任を持って支えていく」と話した。また、「これを機により持続可能な経営に転換していく長期的視点が大事だ」と強調した。
日本公庫は今年度の取り組みとして4年ぶりに「アグリフードEXPO」をリアル開催し、国産農畜産物の輸出を支援する。また、コロナ禍の経験を踏まえ、有事の際でも迅速な業務を行うことができるようデジタル化の推進による電子契約やAIを活用した融資の取り組みなども進める。
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全農(2025年1月1日付)2024年11月21日
-
【地域を診る】調査なくして政策なし 統計数字の落とし穴 京都橘大学教授 岡田知弘氏2024年11月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国家戦略の欠如2024年11月21日
-
加藤一二三さんの詰め将棋連載がギネス世界記録に認定 『家の光』に65年62日掲載2024年11月21日
-
地域の活性化で「酪農危機」突破を 全農酪農経営体験発表会2024年11月21日
-
全農いわて 24年産米仮渡金(JA概算金)、追加支払い2000円 「販売環境好転、生産者に還元」2024年11月21日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
JAあつぎとJAいちかわが連携協定 都市近郊農協同士 特産物販売や人的交流でタッグ2024年11月21日
-
どぶろくから酒、ビールへ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第317回2024年11月21日
-
JA三井ストラテジックパートナーズが営業開始 パートナー戦略を加速 JA三井リース2024年11月21日
-
【役員人事】協友アグリ(1月29日付)2024年11月21日
-
畜産から生まれる電気 発電所からリアルタイム配信 パルシステム東京2024年11月21日
-
積寒地でもスニーカーの歩きやすさ 防寒ブーツ「モントレ MB-799」発売 アキレス2024年11月21日
-
滋賀県「女性農業者学びのミニ講座」刈払機の使い方とメンテナンスを伝授 農機具王2024年11月21日
-
オーガニック日本茶を増やす「Ochanowa」有機JAS認証を取得 マイファーム2024年11月21日
-
11月29日「いい肉を当てよう 近江牛ガチャ」初開催 ここ滋賀2024年11月21日
-
「紅まどんな」解禁 愛媛県産かんきつ3品種「紅コレクション」各地でコラボ開始2024年11月21日
-
ベトナム南部における販売協力 トーモク2024年11月21日
-
有機EL発光材料の量産体制構築へ Kyuluxと資本業務提携契約を締結 日本曹達2024年11月21日