牛、豚、鶏の飼育 アニマルウェルフェアの指針示す 農水省2023年6月29日
農林水産省は6月28日、アニマルウェルフェア(快適性に配慮した家畜の飼養管理)の指針案を有識者の意見交換会に示した。識者らの意見をふまえて7月中にも指針を決め通知する。
28日に開催された意見交換会
農水省はアニマルウェルフェアに関する指針(畜種ごとの飼養管理等に関する指針)について2022年5月から6月にかけてパブリックコメントを実施、1730件の意見が寄せられそれを踏まえて最終案を示した。
畜種ごとに「実施が推奨される事項」と示し、乳用牛では繋ぎ飼い方式の場合は「繋がれていない状態で運動が十分にできるようにする」ことや、フリーストール牛舎の場合は「少なくとも1頭当たり1牛床」を準備することとされている。
肉用牛では脂肪交雑を高めるためビタミンAの給与量を制御する場合、「日本飼養標準等を参照し栄養の適切な給与に注意する」ほか、乳用牛と同じく繋ぎ飼い方式の場合は「繋がれていない状態で運動が十分にできるようにする」とされている。
豚では、ストールについて「壁や上の棒にぶつかることなく自然な姿で起立できる」ことや、「隣の豚を邪魔せず快適に横臥できる適切な大きさのもの」を用いること、としている。将来的に実施が推奨される事項として、豚は社会的な動物であり群れで生活することを好むため「繁殖雌豚はなるべく群で飼うよう努める」ことも示された。
採卵鶏では「全ての鶏に対し妨げられることなく、同時に休息し正常な姿勢をとり羽ばたきの等のため十分な空間を与える」こととされた。将来的な実施が推奨される事項としては砂浴びのエリア、ついばみのエリア、営巣のエリア及び止まり木を設ける場合、「砂浴びなど特定の行動を促すよう設計、配置する」とされた。
そのほか家畜の輸送、農場内での安楽死についても指針を示した。
意見交換会で委員からは「概ね妥当」との意見が多かったが「生産者にとって実施が難しい内容も含まれている。実施できなくても経営を中止する必要がないことなども丁寧に説明してほしい」、「具体的にいつまでの実施をめざすのか、期間の設定は生産現場の実態をふまえ配慮してほしい」との意見が出た。
また、輸送については個々の生産者がその計画を作成することは難しく「農水省が参考となる資料を作成すべき」、「消費者などにも分かりやすい普及啓発のための資料作成を」、「消費者がアニマルウェルフェアに配慮した商品を選べるようにすべき」との意見もあった。
これらを踏まえて農水省は指針の修正や普及啓発のための資料作成に取り組む。また、意見交換会は引き続き実施するとしている。
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