「地域の取組」に交付金 肥料高騰追加対策 農水省2023年7月13日
農林水産省は7月12日、肥料価格高騰対策事業の追加対策として、「化学肥料の2割低減」の定着に向けた「地域の取組」を支援する事業の要領を発表した。
「地域の取組」は、原則として市町村を最小単位として作られる地域協議会で地域計画書として策定する。
取り組みの内容は「化学肥料の2割低減に向けた取組」の定着を図るもので、地域独自で設定することができる。今回の事業はこの取り組みによる掛かり増し経費の2分の1(上限500万円)を交付する。交付額には地域協議会の事務費も含まれる。
地域計画書は都道府県協議会で審査し国が採択を決定する。
新規で取り組み内容を設定することが難しい場合は、国が示す「基本的な取組」をそのまま設定することができる。この場合、都道府県協議会や国による地域計画書の審査の一部が省略される。
国が示す「基本的な取組」は▽土壌・生育診断の推進支援(支援単価:料金の2分の1以内)、▽堆肥等の利用拡大支援(堆肥等の散布4000円/t)、▽国内資源活用肥料の利用拡大支援(地域で設定した国内資源活用肥料につき200円/20㎏)など9つのメニューがある。

地域計画書には取組内容ごとに取組予定面積を記入する必要がある。面積として把握しづらい取り組みの場合は、たとえば、土壌分析点数を1ha/点として予定点数を面積換算、堆肥の散布量を1
t/10aとして契約予定数量を面積換算するといった考え方も農水省は示している(化学肥料低減定着対策事業Q&A)。
農水省は地域計画書の採択は、記載された取組面積が大きく、面積当たりの平均取組単価が低い計画を優先するとしている。
地域協議会による地域計画書の提出は8月末までに行う。その後、都道府県協議会が地域計画書の審査を行い、9月11日までに地方農政局等に県内の地域計画書を提出する。国は9月下旬に計画の承認と交付決定通知を行い、地域協議会には10月上旬ごろ採択結果が通知される。
肥料原料の調達価格は、国際的な需給の落ち着きで昨年4月~10月頃をピークに下落し、これを反映したJA全農の秋肥の卸売価格は対前期比で28%引き下げると発表された。
こうしたなか今回の追加対策は、堆肥などの国内資源の活用や土壌診断による適正施肥を進めて、国際価格の変動の影響を受けにくい生産体制の確立を図ることが目的。交付金はJAや資材販売店に一括交付するほか、農業者に個別に支援することもできる。
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