農産物輸出 上半期過去最高の7144億円 農水省2023年8月4日
農林水産省は8月4日、2023年上半期の農林水産物・食品の輸出額を公表した。
輸出実績は7144億円。626億円増の+9.6%の伸び。上半期では過去最高となった。このうち少額貨物は454億円で前年比+25.9%となっている。
農水省が関係者から聞き取ったところ、昨年上半期に比べ多くの国で新型コロナウイルス感染対策の行動制限が解除され、外食向けが回復したことや小売店、EC向け販売も引き続き堅調だったという。また、円安で海外市場での競争環境が改善し多くの品目で輸出額が伸びた。
畜産物では牛肉が前年同期比+22.4%の261.8億円、牛乳・乳製品が+20.3の168.8億円と伸びたが、鳥インフルエンザの打撃を受けた鶏卵は▲24.4%の2.9億円にとどまった。畜産物全体では+17.3%の48.3億円となった。
青果物ではりんごが+41.0%の62.7億円、いちごが+24.6%の47.4億円、ながいもが+32.8%の16.4億円だった。米は+29.6%の41.6億円。
減少額が大きいのはサバで▲55億円(▲49%)。漁獲量の減少でアフリカや東南アジア向けの輸出が大幅に減少した。
日本酒は▲34億円(▲14%)。米国がインフレで高価な日本酒需要が減少し苦戦しているという。米国は住宅ローン金利の高止まりで住宅市場が減速しており、その影響で製材の輸出額は▲14億円(▲23%)となった。
なお、6月単月の輸出額は1258億円で前年同月比+85億円、7.3%伸びた。5か月連続で前年同期を上回っている。
政府は2030年に輸出額5兆円を目標にしており、25年には2兆円を目標にしている。昨年の年間輸出額は1兆4140億円で3年間で5860億円伸ばす必要があり、伸び率は毎年12.25%必要になる。
農水省は「上半期だけでは評価は難しいが、さらに輸出を加速したい。そこに向けて輸出戦略を強化する」としている。
今回の集計で水産物は+13.3%となった。ホタテ貝は▲1.1%だったが、ベトナムや韓国向けの輸出が減り、中国、香港、米国向けは増えたという。しかし、現在は中国が福島第一原発からの処理水放出をにらみ、通関検査を強化しており、水産物が留め置かれており、とくに生鮮品に影響が出ているという。今後の輸出への影響が懸念される。
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