食料需給不安定化のリスクが増大 不測時の対策取りまとめへ新たな検討会が発足2023年8月8日
気候変動やウクライナ危機などで世界的に食料需給が不安定化する中、不測の事態が発生した際の対策などを議論する政府の検討会(座長・渡辺研司名古屋工業大学大学院教授)が新たに発足し、8月8日、第1回目の会合が開かれた。年内に不測時の対処方針や対策などを取りまとめる。
「不測時における食料安全保障に関する検討会」会合で発言する渡辺研司座長
設置されたのは、「不測時における食料安全保障に関する検討会」。今年6月に決定した政府の「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」で、不測時の対処方針を明確にするとの方針を受けて設置されたもので、大学教授やJAグループ幹部などの有識者8人と、農水省や厚労省、経産省など関係省庁の担当者がメンバーとして参加した。
初会合では冒頭、農水省の杉中淳総括審議官が「現行の基本法でも不測の事態への施策は行うことになっているが、対応策が必ずしも十分に措置されていなかった。世界の食料需給を不安定化させる要因は多様化深刻化しており、まず食料安全保障上のリスクの高まりについて認識を共有したい」とあいさつした。
このあと座長に選ばれた渡辺教授は「我々が取り組むのは、国民生活や社会経済活動の根底を揺るがすほど大きな構造的な課題であり、これまでの知見と経験の延長線上では対応しきれないと考えている。活発な議論を進めながらソリューションを見出していきたい」と述べた。
この日は2人の専門家へのヒアリングが行われ、農研機構農業環境研究部門の長谷川利拡エグゼキュティブリサーチャーは、気候変動による食料システムへの影響について解説、すでに急性の食料不安が発生し、温暖化の進行で範囲や程度が拡大するなどと指摘した。
また、立命館大学の筒井俊之教授は、鳥インフルエンザなど家畜伝染病のリスクについて報告し、地球の環境変化に伴い野生動物などの生息域の変化・拡大が進んでいるなどとして国際協調の必要性などを訴えた。
検討会は今後毎月1、2回のペースで開かれ、不測時に重要品目の供給を確保するための対策や関係省庁の役割分担などを議論する。年内に基本的な対処方針や法令で新たに対応すべき事項などを盛り込んだ取りまとめを行う。
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全農(2025年1月1日付)2024年11月21日
-
【地域を診る】調査なくして政策なし 統計数字の落とし穴 京都橘大学教授 岡田知弘氏2024年11月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国家戦略の欠如2024年11月21日
-
加藤一二三さんの詰め将棋連載がギネス世界記録に認定 『家の光』に65年62日掲載2024年11月21日
-
地域の活性化で「酪農危機」突破を 全農酪農経営体験発表会2024年11月21日
-
全農いわて 24年産米仮渡金(JA概算金)、追加支払い2000円 「販売環境好転、生産者に還元」2024年11月21日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
JAあつぎとJAいちかわが連携協定 都市近郊農協同士 特産物販売や人的交流でタッグ2024年11月21日
-
どぶろくから酒、ビールへ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第317回2024年11月21日
-
JA三井ストラテジックパートナーズが営業開始 パートナー戦略を加速 JA三井リース2024年11月21日
-
【役員人事】協友アグリ(1月29日付)2024年11月21日
-
畜産から生まれる電気 発電所からリアルタイム配信 パルシステム東京2024年11月21日
-
積寒地でもスニーカーの歩きやすさ 防寒ブーツ「モントレ MB-799」発売 アキレス2024年11月21日
-
滋賀県「女性農業者学びのミニ講座」刈払機の使い方とメンテナンスを伝授 農機具王2024年11月21日
-
オーガニック日本茶を増やす「Ochanowa」有機JAS認証を取得 マイファーム2024年11月21日
-
11月29日「いい肉を当てよう 近江牛ガチャ」初開催 ここ滋賀2024年11月21日
-
「紅まどんな」解禁 愛媛県産かんきつ3品種「紅コレクション」各地でコラボ開始2024年11月21日
-
ベトナム南部における販売協力 トーモク2024年11月21日
-
有機EL発光材料の量産体制構築へ Kyuluxと資本業務提携契約を締結 日本曹達2024年11月21日