農業用水提供のダム3カ所が貯水量ゼロ 新潟県で渇水深刻化 米農家「収穫あきらめた田んぼも」2023年8月21日
新潟県では約1か月間、まとまった雨が降らず、県は8月18日、渇水に関する情報連絡会議を開いて農作物への影響や対策について話し合った。農業用水などを供給する3か所のダムで貯水量がゼロになるなど農業用ダムの平均貯水率は例年の半分ほどにとどまる。魚沼市の米農家からは「水を引けない一部の田んぼでは収穫をあきらめた。雨がないとさらに広がる恐れがある」との声が上がっており、稲の枯死や高温障害による品質低下が懸念されている。
魚沼コシヒカリの産地、新潟県魚沼市で約80haの水田で米を作付けする大規模農家、関隆さんは20日、取材に対し、「たまに夕立がある程度で全然雨が降らない」と深刻な水不足の状況を語った。
7月下旬以降、猛暑が続く一方で雨がほとんど降らず、水源地の水がなくなり水が引けなくなった田んぼが出ているという。「40a位の田んぼでは今年の収穫をあきらめました。また、すでに1ha位で高温障害が出て収穫してもくず米になりそうです。この状況がどこまで広がるか大変心配ですが、とにかく雨を待つしかありません」と語る。
新潟県が会議で示した資料によると、県内では7月21日以降まとまった降雨がなく、天水田や小中河川流域等の水田を中心に、枯死や葉の枯れ上がりなど、高温・干ばつの影響が広がっている。また、園芸作物でも枝豆やアスパラガスなどで肥大不足など品質低下が見られるという。
新潟県で渇水に関する情報連絡会議が開かれるのは5年ぶり。新潟県によると、今月17日時点の農業用ダム23か所の平均貯水率は34%で、例年の半分ほどにとどまっている。また、県内3か所のダムで貯水率がゼロになっていた。
県は農業用水の渇水対応として、南魚沼市などの約360haの農地で消雪パイプ用井戸を活用するほか、農業排水を用水に反復利用するなどしているほか、農地に用水を供給するための応急ポンプの市町村や土地改良区への貸し出しも行い、対応にあたっている。
新潟県では今週末まで雨の予報はなく、県は、異常高温や異常乾燥による玄米の割れ発生を防ぐための技術対策情報を出すなど、農家に小まめな情報発信をして渇水対応を呼びかけている。
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