農作業事故 年に6万5000件 JA共済連が分析 JA共済連2023年8月29日
農作業事故は年約6万5000件発生しており、このうち死亡事故は毎年300件前後。他産業に比べて高いことが判明しているが、ケガなど死亡事以外を含めた統計データが不足しており、農作業事故の全体像がつかめていなかった。8月23日、農水省が主催した令和5年秋の「農作業安全確認運動推進会議」の中で、JA共済連が分析結果を中心に報告した。
共済事故データに基づく農作業事故の分析では、約3万6千件の共済金支払データに基づいて農作業事故の発生状況を分析。その結果、障害事故の年間発生件数は死亡事故の約266倍。精神的・肉体的な傷害が継続する「後遺障害」を伴う深刻な事故は、約2倍に上ることが分かった。合わせると、年間の農作業事故発生件数は、年約6万5000件、1日あたり約180件となり、事故の全体像が明らかになった。
これらの事故原因についてリスクマップで「見える化」したところ、農作業事故が発生する要因として、高所など危険な場所での作業や悪天候などの「環境」、機械・用具など「物」の欠陥、疲労などによる「人」の判断ミスが浮かび上がった。分析結果はJA共済連のウェブサイトで公開している。
こうした農作業事故を減らそうと、JA共済連が農研機構と開発した農作業事故を疑似体験できる装置「農作業事故体験VR」も紹介。これを活用した学習プログラムとその活用事例を報告した。
また、令和5年1月に新設したJA共済オリジナル制度の「農業用安全自動車割引」(農研機構の安全性検査の合格機に対して割り引く制度)について紹介があった。事故の多くが農業機械作業中に発生していることから、安全性の高い農機普及の後押しとして設けた。対象車種は、農耕作業用大型特殊自動車、農耕作業用小型特殊自動車のうち、農研機構が行う安全性検査に合格したもの。対象担保は、車両、対人、対物、傷害定額、人身傷害で、割引率は9%となっている。
JA共済連の担当者は、これらを中心に、「時代の変化を取り込みながら一層の安心を届けるよう努める」と締めくくった。
次回から、同会議で報告された他農機メーカー各社による農業従事者の安全対策の内容をレポートする。
(関連記事)
農業機械の転落・転倒対策 重点に 秋の農作業安全確認運動 農水省
重要な記事
最新の記事
-
持続可能な食と農へ 農中と農研機構が協定2025年4月23日
-
将来受け手のない農地 約3割 地域計画で判明2025年4月23日
-
ふたつの「米騒動」【小松泰信・地方の眼力】2025年4月23日
-
鳥インフル対策 大規模養鶏は分割管理を 農水省2025年4月23日
-
米の生産目安見直し 1.7万トン増産へ 北海道2025年4月23日
-
県内国公立大学の新入学生を秋田県産米「サキホコレ」で応援 JA全農あきた2025年4月23日
-
「岐阜えだまめ」の出荷始まる 初出荷は80kg、11月までに700t出荷へ JA全農ぎふ2025年4月23日
-
いわて純情米消費拡大月間がキックオフ JR盛岡駅前でおにぎり配布 JA全農いわて2025年4月23日
-
2025いわて純情むすめ大募集 純情産地いわての魅力を全国に伝える JA全農いわて2025年4月23日
-
【JA人事】JA常総ひかり(茨城県) 堤隆組合長を再任2025年4月23日
-
食べ物への愛と支える人々への感謝込め ニッポンエールからグミ、フルーツチョコ、ドライフルーツ詰め合わせ 全国農協食品株式会社2025年4月23日
-
カレー、ラーメンからスイーツまで 「鳥取の魅力」詰め合わせ JA鳥取中央会2025年4月23日
-
大自然から生まれたクリームチーズ 昔ながらの手作り飴に 蔵王酪農センター2025年4月23日
-
千葉県柏市「柏市公設市場」一般開放デー開催 市内JAが初出店2025年4月23日
-
新茶の季節に「お茶フェア」産地直送通販サイト「JAタウン」で初開催2025年4月23日
-
緑茶用品種「せいめい」全ゲノム配列を解読 多型情報解析を可能に 農研機構2025年4月23日
-
AIとIoT、新規センサを活用 スマート畜産排水処理技術を開発 農研機構2025年4月23日
-
「サツマイモ基腐病を防除する苗床の土壌還元消毒SOP」第2版を公開 農研機構2025年4月23日
-
第11回京都市場伊賀産肉牛枝肉研修会開く 伊賀産肉牛生産振興協議会2025年4月23日
-
充実の装備と使い勝手の良さで計量作業を効率化 農家向け計量器2機種を発売 サタケ2025年4月23日