水田農業の危機 直接支払い制度を 日本の食料を考えるフォーラム2023年8月31日
NPО法人国内産米粉促進ネットワークは8月26日に東京都内で「日本の食料を考えるフォーラム 今こそ米粉の出番」を開いた。生産者から水田農業の現状が報告されるととともに、研究者から水田農業を守るために必要な政策などが提起された。フォーラムには143人が参加した。
日本の食料を考えるフォーラム
千葉県山武市で水稲20haとぶどう30aを作付けている全国稲作経営者会議の古谷正三郎会長は、土地利用型農業の後継者不足で地域農業を守っていく厳しさを指摘した。
単年度の補助金ではなく5年先、10年先を見据えた支援スキームが必要で、米価を国際水準に引き下げて輸出拡大や需要拡大につなげ、一方、国は大規模化のためのインフラ整備に責任を持つとともに、「面積に応じた直接支払い制度をつくるべきだ」と話した。また、消費者の農業理解のための情報発信も重要だと指摘した。
米の利用促進と米粉の認知度向上などで食料自給率の向上をめざす「食の未来づくり運動」に取り組む東都生協は若手生産者と配送センターが直接つながった活動に力を入れている。
仲宗根由美子総合企画室長は「コロナで食と農への関心も高まり、農業は大事だという意識も高まっており、食べて応援することが重要」などと話した。
農中総研の平澤明彦理事研究員は古谷氏が話す土地利用型農業の厳しさについて「日本は穀物を切り捨てる政策をしてきた」とし、儲からないから後継者が育たず、耕作放棄地が増えることになったと指摘した。そもそも日本は必要な農地の3分の1しかないが、このままでは自給率向上を実現できないまま、さらに農地を減らすことになるとして、農地を維持していくことを高い政策目標にし、直接支払いで支えていく政策が必要だと話した。また、飼料用米も含め米の需要を拡大すべきだと指摘した。
フォーラムでは東京都の米粉パンのキャンペーンを渡辺忠行東京都産業労働局農林水産部課長が紹介した。JA東京中央会やJA全農にいがたと連携し、米粉パンの販売や都内の食品事業者に対する商品開発支援などを行っている。都内では129店舗で米粉パンが販売されているという。
「日本、やっぱり米の国」と「輸入小麦が高騰するなか、皆さん、米粉パンを食べましょう」と小池知事は呼びかけている。
フォーラムでは国内産米粉促進ネットワークの高橋仙一郎副理事長は500万t輸入している小麦粉の「10%を米粉に置き換えることはできる」として米粉を50万t程度使用し水田農業を守る国民運動の展開を提唱した。
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