鳥インフルウイルス 遺伝子型は17種類 多様な野鳥が関与 一層警戒を 農研機構2023年10月11日
農研機構は10月10日、2022年シーズンに国内で発生した84事例の高病原性鳥インフルエンザの原因ウイルスが3グループ17遺伝子型に分類されたと発表した。このうち15遺伝子型はさまざまな野鳥のウイルスに由来することが分かった。農研機構は今後も発生動向を注視し農場へのウイルス侵入に警戒する必要があるとしている。
2022年シーズンは、それまででもっとも早い10月28日に第1例目が発生、23年4月7日までに過去最多となる84事例が発生した。まん延防止のため鶏やアヒルなど約1771万羽が殺処分された。
農研機構は2022年シーズンの家きん発生84事例から分離されたウイルス株を解析したところ3つのグループに分類されることが分かった。
一方、同時期に回収・採取された野鳥や野鳥糞便242事例から分離されたウイルスのうち155事例は同じ3グループに分類された。こうしたことから渡り鳥により高病原性鳥インフルエンザウイルスが国内に持ち込まれたことが示唆されるという。
さらに家きん発生事例のウイルスの遺伝子型を解析すると17種類に分類され、このうち一部の遺伝子が野鳥由来の鳥インフルエンザウイルスに置き換わっているものが15種類あることが分かった。
これらのウイルスは野鳥の集団で感染を繰り返すことで遺伝子再集合(2種類のウイルスが感染し1つの細胞内で増殖が起きると2つのウイルスに由来する新たな遺伝子の組み合わせが出現すること)が起きて出現した可能性があるという。
農研機構はこれらの結果から野鳥が多様なウイルスの出現、ウイルスの維持、伝播に大きな役割を果たすとして「今後もより一層、農場へのウイルス侵入に対する警戒が必要だ」としている。
17種類のウイルス株はどれも鶏に高い致死性を示すが、平均死亡日数は2日から6.2日と株により多様だという。また、これらのウイルスがヒトに直接感染する可能性は低いと考えられているという。
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