不測時「生産資材」も供給確保 国が要請 農水省2023年10月13日
農林水産省は10月12日、「不測時における食料安全保障に関する検討会」の第4回会合を開き、生産資材の供給確保策と供給確保のための施策について考え方を示した。
農水省は食料の供給不足は、食料そのものの不足に限らず、肥料、飼料などの生産資材の不足によっても起こることを指摘し、米では化学肥料や農薬が使用できないと約2割の減収になるとの試算も示した。
また、これまでの例から世界の食料需給がひっ迫し穀物価格の高騰が生じると、生産資材への需要が高まり資材価格の高騰する。2020年からのコロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻では穀物価格とともに、肥料価格が高騰した。
こうした状況をふまえて農水省は食料供給を確保するには生産資材についても不測時の対策の対象とし、食料と同様、供給減少の兆候がみられた段階から情報収集などの措置を講じ、より深刻な事態となることを防ぐことが必要との考えを示した。また、基本的には生産の拡大や輸入による確保などは事業者の自主的な取り組みが基本だが、食料と同様、国からの「要請」も必要との考えも示した。
その際には、国の要請に従って追加の輸入をしたり生産を拡大したものの、供給不足が改善し値崩れを起こすというリスクもあるため、国が必要な量を提示するなど情報提供を行うとともに、支援策を講じることとが重要だとの考えを示した。
さらに要請に基づき計画の作成・届出、変更について国が指示するが、計画の変更指示は事業活動を義務づけることになるため、事業者への損失補てん観点も踏まえるべきだとした。
宮下農相は13日の会見で「世界的な食料の供給不足時には、生産資材の価格高騰や供給不足が同時に発生する可能性が大きく、わが国では食料の輸入が減少した場合は生産資材が不足し国内生産の減少を引き起こす可能性があるとの認識を昨日の会合で共有した」として年内にまとまる検討会のとりまとめをふまえて「必要な法整備などを検討していきたい」と話した。
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