食料・農業・農村基本法改正法案 閣議決定 坂本農相「一日も早い成立を」2024年2月28日
政府は2月27日の閣議で食料・農業・農村基本法の改正案などを閣議決定した。坂本農相は「一日も早い成立をめざして尽力する」と述べた。
基本法は25年ぶりの改正となる。坂本農相は定例会見で基本法制定当時と異なり、気候変動による異常気象や自然災害が頻発し、世界の人口増加と中国、インドなどの経済成長で食料需要が増加し「これまでのように自由に買い付けができなくなった」と改めて指摘した。また、各地の紛争やコロナ禍などで貿易が不安定化になっている。
一方、国内では農業者と農村人口が減少するなかで、どう農業生産の発展と農村の維持を図るかが急務となっている。
こうしたなか今回は「食料安全保障の抜本的な強化」、「環境と調和のとれた産業への転換」、「人口減少下における農業生産の維持・発展と農村の地域コミュニティの維持」を柱に基本理念を見直し、基本的施策を定める改正を行う。
食料安全保障の強化のためには、現行基本法と同様に国内の農業生産の増大を図ることを基本に、輸入と備蓄を組み合わせるとの考えは変えないが、海外への輸出を図ることで食料の供給能力の維持を図ると「輸出」を位置づける。
また、農業者と食品産業などの事業者、消費者まで含めた生産から流通までの「食料システム」という考えを盛り込み、食品の価格形成は、この食料システムの関係者によって「持続的な供給に要する合理的な費用が考慮されるようにしなければならない」と明記した。さらに食料システムは「環境と調和が図られなければならない」としている。
基本計画には「食料自給率」目標はこれまで通り定めるとともに、政府は少なくとも毎年1回は目標達成状況を調査し、公表しなければならないことを新たに定める。
今回の基本法改正の背景には肥料など生産資材価格の高騰があるが、改正で新たに肥料その他の農業資材の安定的な輸入確保に向けて、国と民間との連携による輸入相手国の多様化や「相手国への投資の促進」も条文に記述している。
基本法見直しを議論した農政審基本法検証部会では「多様な農業者」の位置づけが焦点となったが、現行法通り効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う構造を「望ましい構造」とした。ただし、その望ましい構造を確立するには、地域の協議で「多様な農業者」の生産活動で農地の確保が図られるように配慮するという条文を新設した(第26条第2項)。
閣議ではそのほか「食料供給困難事態対策法案」と農地の確保と適正利用のための「農業振興地域の整備に関する法律の改正案」が決定された。これに近く閣議決定されるスマート農業技術の活用の促進に関する法律案を加えた4法案の一括審議を農水省は求めている。
坂本農相は「一日も早い法案成立をめざして尽力する」と話した。農政の転換の実現に向け活発な国会審議が求められる。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(119) -改正食料・農業・農村基本法(5)-2024年11月23日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (36) 【防除学習帖】第275回2024年11月23日
-
農薬の正しい使い方(9)【今さら聞けない営農情報】第275回2024年11月23日
-
コメ作りを担うイタリア女性【イタリア通信】2024年11月23日
-
新しい内閣に期待する【原田 康・目明き千人】2024年11月23日
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日