自給率向上を放棄 基本法改正案は撤回を 農民連が緊急集会2024年3月14日
農民運動全国連合会は3月13日、国会内で「自給率向上を放棄する農基改正案は撤回を!」と主張する緊急集会を開催、野党国会議員に自給率向上を政府の法的義務とすることを求める署名を渡した。第3次署名は約5万3000人が署名した。
国会内で開かれた緊急集会
集会では長谷川敏郎農民運動全国連合会の長谷川敏郎会長が基本法改正案の問題点を指摘した。
食料自給率の目標は、現行基本法では「その向上を図ることを旨とし、国内農業生産及び食料消費に関する指針」と位置づけられている。しかし、改正案では「食料自給率の向上その他の食料安全保障の確保に関する事項の改善が図られるよう」定めるとされている。
この記述について「指針が削除され一指標に貶められた。そのうえ向上を目指さない、せいぜい"改善"が図られるだけのものになり、政府は傍観者で、何とでも言い逃れる指標を増やすことになった。食料自給率の目標は死んでしまった」と批判する。
現行基本法が議論された際、政府は自給率目標の設定には後ろ向きだったが、1997年にJA全中は1000万人署名運動を展開したことや、農民連も座り込みを行うなど「食料自給率目標は国民の闘いで押し込んだ」ことを強調し、食料自給率向上を政府の法的義務とすることが求められており、基本法に「(自給率目標の達成程度など)年度ごとの成果について国会の審議・承認を得る」と書き込むことが必要だと主張する。
「食料自給率向上を政府の法的義務とすることを求める請願」への署名簿を渡す
農民連の長谷川会長(左から2人め)、署名を受け取る紙智子参議院議員、川田龍平参議院議員。
会計検査院も昨年11月、総合食料自給率等の指標の検証状況について「目標年度において目標を達成していなかった場合の要因分析をするなどの検証は行われていなかった」と農水省に対して厳しく指摘、検証によって得られた知見を将来の政策に的確に反映していくことが重要としていることを長谷川氏は報告のなかで述べた。
また、食料の安定供給については国内の増産ではなく、さらに輸入を促進させようとしているのではないかと指摘する。
現行法では「国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄とを適切に組み合わせて」食料の安定供給を行うとされているが、改正法案では輸入について「安定的な輸入」としたほか、新設した21条で輸入相手国への国と民間との連携による「投資の促進」を明記しており、輸入をさらに増大する改正ではないかと話すとともに、今回の改正で農産物の増産とは、輸出用農産物だけではないかと指摘する。
そのほか、農業の担い手が将来は30万人に減少するとの見通しを政府自身が持ちながらも、青年の新規就農支援について明記しておらず、家族農業についてもこれまで通り「家族農業経営の活性化を図る」とあるだけで「今年は国連の家族農業10年の折り返しの年であり、家族農業の重視と再評価こそ強調されるべきだが不十分」と批判、「食料自給率向上の放棄など問題が多く、改正法案は直ちに撤回すべき。現行法があり無理に作る必要はない」と訴えた。
集会では資源・食糧問題研究所代表の柴田明夫氏も問題的を指摘、「新しい言葉が踊っているが一貫性がないうえに国内生産の増大、強化という考えがない」と批判した。
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