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不測事態の食料確保、スマート農業法など3法案 衆院で審議スタート2024年4月25日

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衆議院農林水産委員会は19日衆院を通過した食料・農業・農村基本法改正案に続き、4月25日、不測の事態に食料を確保するための「食料供給困難事態対策法案」など3法案の審議を始めた。委員会では坂本農相が法案の趣旨説明を行った後、この日は与党議員が質問した。

【食料供給困難事態対策法案】

同法案では、異常気象など兆候を把握した時、首相を本部長とした対策本部を設置し、米、小麦、大豆など特定食料の供給が大幅に減少し、国民生活に影響が出た場合には「食料供給困難事態」という公示を政府の本部が行うとしている。

そのうえで同法案は出荷販売業者、輸入業者、生産者に対して政府がどれだけ生産するかなど「計画」の届け出を指示することができると規定する。委員会の質疑で農水省は「計画の届け出は、確保可能な供給量を把握し、政府が供給確保のための実施方針を策定するために不可欠」であると説明し、「計画の届け出を行わない事業者に対して、法目的を達成するための必要最小限の措置として20万円に罰金を課すことにしている」と答弁した。

国が供給計画を立てるために必要な情報として計画の届け出を指示するとの説明だ。

委員会では1993年の作況指数74となった平成の米騒動時の状況を問われ、坂本農相は、一部の生産者や卸売業者が値上がりを待って在庫を抱え込んでいるという報道や、闇米業者に買い付けに生産者の応じているという報道があったとし、「生産段階でも高値を見越して売り惜しみを行った」ことが食料供給確保対策の支障となるおそれがあることから、計画を届けない場合の罰則は「最低限の担保措置」との認識を示した。

一方、農水省の担当者は「計画の届け出は増産を強制するものではなく、実施可能な範囲で計画を策定すればいいことや、輸入や生産拡大など届け出内容を結果的に実行できなかったからといっても罰則の対象としえるものではない」と答弁し、どのような罰則が課されるかなどは「本法案が成立した際には関係者に対して丁寧に説明する」と答えた。

計画の内容については、水田活用交付金や畑作作物のゲタ対策の交付を受けるために生産者は毎年、営農計画書を提出していることから坂本農相は「現行で記載している事項にできるだけ沿った内容にしたい。農業者に過度な負担が生じないよう配慮して検討する」と述べたほか、増産に対する支援では掛かり増し経費の支援や、増産にともなう価格低下の埋め合わせなど、対象品目ごとに検討し「(増産の)要請に応じていただける環境を整える」などと答弁した。

【農地関連3法改正案】

農業生産の基盤である農地の確保と農地利用の適正、効率化に向けた「農振法」改正案では、国と地方自治体が目標農地面積について協議する場を設ける。「農地法」改正案では、農地の権利取得に許可要件として、農作業に従事する者の配置の状況や関係法令を遵守することなどを追加した。
「農業経営基盤強化促進」の改正では、農地所有適格化法人が食品事業者や地銀ファンドから出資を受けて両者で議決権の過半を占めることができる特例を設ける。

質疑で農水省は、農地所有適格化法人のうち農業関係者以外から出資を受けている法人は1100社あるとし、そのうち約半数が食品事業者であることや議決権割合が40%代の法人は約400社あると説明した。これらの法人からは財務基盤をさらに強化したくても農業関係者からのさらなる出資は困難との声や、取引先と事業連携を進めたいといった声に応えた特例措置と答弁した。また、地銀ファンドの出資を認めたのは地域振興を担うという点で農業法人と「親和性が高い」と判断したという。

委員会では将来は農業IT企業や観光業など出資社の業種を拡大するかを問われ、武村展英副大臣は「拡大するかどうかは農業現場の懸念等の動向も見極めながら丁寧に検討していく必要がある」と答弁した。

【スマート農業促進法案】

スマート農業促進法案(農業の生産性向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案)は、農業者が減少しても生産水準が維持できるようスマート農業の活用について農相が基本理念や方針を定め、スマート農業を活用する農業者や技術開発者が農相から認定を受ける制度を創設する。

認定されれば日本政策金融公庫の長期低利融資を受けることができたり、技術開発では農研機構の研究開発設備を供用することなどもできる。

委員会ではスマート農業については都市型農業では品目も限られ農地も狭いなどの問題からメリットを感じないという現場の声があるとの指摘に対して農水省の担当者は「都市型農業であっても危険重労働からの開放、現場の張り付きからの開放、若者や女性など不慣れな人でも作業が可能になり、農産物の収量や品質の向上など直接的な効果がある」などと答弁、また、導入コストなどの問題については同法案では「スマート農業技術活用サービス」を位置づけて、サービス事業体がスマート技術を普及していくことも重視していることも強調した。

また、武村副大臣はスマート農業促進法によって2030年度に農業現場でのスマート技術の活用割合を50%以上に向上させることを政策目標とすることも明らかにした。

自民党の細田健一議員、山田普議員、公明党の稲津久議員への答弁をまとめた。

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