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5割多収「そらたかく」、2割「そらひびき」 大豆新品種を開発 農研機構2024年6月11日

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農研機構は6月11日、収量が多く豆腐に利用できる大豆の新品種「そらひびき」と「そらたかく」を育成したと発表した。

「そらひびき」は既存の品種と比べて2割以上の多収が見込まれ、東北南部から北陸向け。「そらたかく」は5割以上の多収が見込まれ、東海から九州向け。

大豆は油糧原料となるほか、豆腐や味噌、納豆など日本の伝統的な食品の原料として重要な農産物だが、自給率は7%程度で食品用に限っても2割程度と多くを海外に依存している。しかし、世界の大豆の消費量は増加しており、食料安保の観点から国内生産の拡大が課題となっている。

ただ、国産大豆は米国産の10aあたり収量340kgの半分程度(同168kg・23年産)と低い。一方、米国産大豆は豆腐の加工適正には優れない。

そこで農研機構は豆腐への加工適正を持っている日本品種と多収性がある米国品種を交配して選抜した。

既存品種「ふくゆたか」(左)と莢の数が多い多収品種「そらたかく」既存品種「ふくゆたか」(左)と莢の数が多い多収品種「そらたかく」

「そらひびき」は農研機構が開発した「サチユタカ」を種子親とし、米国品種「LD00-3309」を花粉親とする交配から育成された。

一方、「そらたかく」は「たつまろ」を種子親、米国品種「Santee」を花粉親とする交配から育成された。

いずれの品種も既存品種とくらべてやや小粒だが、現地実証試験では莢数が多く、「そらひびき」は既存品種の「リュウホウ」、「里のほほえみ」に比べて2割以上多収であり、「そらたかく」は「ふくゆたか」と比べて5割以上多収だった。

さらに「そらひびき」は草丈が低く倒れにくいという特徴を持つ。「そらたかく」の草丈は現行品種並みに高いが、倒れにくい。

両品種とも裂莢性(成熟した莢が自然に開く性質)は「難」と評価され、コンバインでの収穫でも脱粒が少なく収穫ロスを少なくすることができるという。また、両品種とも豆腐への加工適性が優れると検査機関から評価された。

農研機構は「そらひびき」は東北南部から北陸地域を中心に、「そらたかく」は東海から九州地域を中心に普及を進めていくとしており、早ければ来年からの作付けも可能になるという。

現行の食料・農業・農村基本計画では2030年度の大豆の生産努力目標は34万tとなっている。しかし、現行では生産量は26万t程度だ。

農研機構は昨年11月に大豆新品種「そらみずき」、「そらみのり」を発表した。これらとともに本州から九州までの大豆産地を多くの多収品種でカバーすることが可能となり、国産大豆の生産拡大が期待される。

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