地域計画策定 法人への協議呼びかけは55% 日本農業法人協会2024年6月20日
(公社)日本農業法人協会は今年5月に会員を対象に「農地集積・集約化に向けたアンケート」を実施し6月4日に結果を公表した。
2023年4月の農業経営基盤強化促進法の改正で2025年3月末までに、市町村は将来の農地利用像や担い手についての「地域計画」を策定することになっている。
アンケートでは地域計画策定に向けた協議の場に地元の市町村から「呼びかけがない」が45.0%だった。ただ、業種(品目)によって異なり、稲作では「呼びかけがない」は30.5%と低く、畜産では57.1%と高い。
地元市町村の地域計画の作成状況は「わからない」が53.6%で「進んでいる」25.9%、「進んでいない」20.5%だった。
農地集積・集約化にとって「地域計画」作成の効果は、「プラスに働いている」が17.5%、「マイナスに働いている」が1.4%で「どちらともいえない」が81.1%と大半を占めた。
マイナスに働いている理由としては「計画を作成すること自体が目的となっており現状と何も変わっていない」、「市町村、JA主体のため形式主義となっている」、「地域内で耕作面積上位の法人を話し合いに入れない。誰のための地域計画なのか疑問」などが聞かれた。
農地の集積・集約化の状況は「進んでいる」が51.0%、「進んでいない」が49.0%と半々となっている。
進んでいない要因は「地域全体に農地集積・集約化の機運がない」がもっとも多く、次いで「関係機関が農地集積・集約化に積極的ではない」が続く。
農地バンクが管理している農地の基盤整備について、「進んでいない」が71.9%、「進んでいる」が28.1%となった。このうち基盤整備についての農家負担が「ある」は19.1%、「ない」が16.1%、「ケースバイケース」が64.7%だった。
法人が賃借している農地について地主から買い取りの要請が「ある」は68.1%だった。一方、農地を購入しない、あるいはできない理由は「そもそも農地は購入しない経営方針」がもっとも多く、次いで「賃借よりもコストがかかる」が多かった。
農地の集積・集約化をさらに進めるために必要なことは「関係機関の取り組み姿勢、推進力の強化」がもっとも多く、次いで「所有者不明農地の手続きの簡素化」、「農地の出し手が出しやすい環境の整備」、「農地の出し手に対する働きかけの強化」が続く。
重要だと考えている関係機関は「市町村」がもっとも多く、次いで「農業委員会」が続く。
関係機関の取り組みに「課題がある」はどの機関も6割以上となった。市町村・農業委員会・農地バンクは「不十分な情報発信」がもっとも多く、都道府県は「調整能力の低さ」がもっとも多い。
農林水産省が6月12日に公表した担い手への農地集積状況によると、集積面積は前年度から2万ha増えて259万haで2013年に比べて約38.5万ha増え、そのうち農地バンクによる集積面積は約20.1万haと全体の約5割を占める。
担い手への集積率は60.4%となったが、安倍政権時に目標として掲げた2023年度に集積率8割とする目標は達成できなかった。農水省は新たな集積目標は来年3月末に策定される次期基本計画のなかで検討することにしている。
重要な記事
最新の記事
-
農薬の正しい使い方(9)【今さら聞けない営農情報】第275回2024年11月23日
-
新しい内閣に期待する【原田 康・目明き千人】2024年11月23日
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日
-
厚木・世田谷・北海道オホーツクの3キャンパスで収穫祭を開催 東京農大2024年11月22日
-
大気中の窒素を植物に有効利用 バイオスティミュラント「エヌキャッチ」新発売 ファイトクローム2024年11月22日
-
融雪剤・沿岸地域の潮風に高い洗浄効果「MUFB温水洗浄機」網走バスに導入 丸山製作所2024年11月22日