農林水産物輸出額 上半期7013億円 対前年▲1.8%、米、牛・鶏肉などは最高額2024年8月2日
農林水産省は8月2日、2024年上半期の農林水産物・食品の輸出額を公表した。輸出実績は対前年比▲1.8%でコロナ禍の2020年上半期以来、4年ぶりの減少となった。
昨年夏のALPS処理水放出以降、中国と香港向けの輸出実績が減っており、上半期累計ではそれぞれ▲43.8%、▲10.5%となった。ほたて貝など水産物の禁輸が大きく影響した。
一方、中国と香港以外向けの輸出は伸び、+14.3%となった。
農水省によると、欧米では昨年上半期と比べてインフレが緩和され、外食需要や小売店・EC向けの販売も引き続き堅調だったことに加え、円安によって海外市場での競争環境が改善したことなどが要因で農産物の多くの品目では輸出額が伸び、農産物全体では+5.7%の4574億円となった。
品目別では米、りんご、牛肉、鶏肉、かんしょ、かんきつ、花きの7品目で集計を始めた2002年以降、最高額となった。
米は米国と香港向けの外食需要が好調で+32.8%の55億円となった。おにぎり店の進出の影響もあるという。米を含めた穀物全体で+11.6%の343億円となった。
また、パックご飯の輸出も好調で+37%の6億円となった。昨年は国内需要が好調で海外ニーズに対応できない事情があったが、その後、工場の新設などで輸出が増加した。米国、台湾、香港などで輸出が伸びたという。
牛肉は台湾を中心に外食需要が回復し、+7.7%の282億円となった。鶏肉は+12%の12億円。
りんごは+4%の65億円。2023年産は猛暑で出荷数量が減少し、輸出数量は減ったが単価が上がったため輸出額は増えた。かんしょは+20.8%の15億円、かんきつは+31.5%の7億円となった。香港、台湾、シンガポール、ベトナム、タイ、マーレーシアで輸出額が伸びた。
花きは+4.4%の64億円となった。中国向けは減少したものの、シンガポール、米国、ベトナム向けが増えた。
一方、牛乳・乳製品は▲5.6%となった。フィリピン向けの脱脂粉乳の輸入量が減少したが、国内の乳価が上昇にともなって海外向け製品の価格も上昇したため。ただ、ベトナムでは日本の乳児用粉ミルクの安全性に信頼があることが販売促進に力を入れて伸びたという。
豚肉は▲18.1%となった。昨年8月に佐賀で豚熱が発生したため九州全域でワクチンを接種、輸出ができなくなったことが要因だという。
また、いちごは需要は堅調だが収穫初期に不作となり輸出量が減ったことから▲8.6%となった。ながいもも▲2.7%とわずかだが減少した。天候の影響で水分量の多いものが増え長期輸送に耐えられる品が減少したことが原因だという。
天候や家畜の疾病などの要因が輸出量に影響することがいくつかの品目で示された。
その他の農産物で大きく増えたのは緑茶で+36.8%の159億円となった。健康志向の高まりを背景に欧米を中心に抹茶など粉末茶の需要が増加しているという。
また、日本食の普及で欧米を中心に日本のウスターソースやマヨネーズ、日本式のカレールーといったソース混合調味料の輸出が増え、+22%の297億円となった。
坂本農相は2日の会見で「政府一丸となって中国など科学的根拠に基づかない規制の撤廃を求めていく」と話すとともに、水産物では輸出先の多元化を図ることも強調した。政府は2025年に2兆円、30年に5兆円の輸出額を目標としている。坂本農相は「目標に変更はない」として目標達成に向け関係省庁と連携して取り組むと話した。
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