輸出産地の認定や現地系スーパーなど新市場開拓を支援 政府が関係閣僚会議2024年8月23日
政府は8月23日午前、農林水産物・食品の輸出拡大のための関係閣僚会議を開き政府目標達成に向けた対応策を決めた。月末の概算要求に盛り込み輸出に取り組む産地を支援するほか、現地系スーパーなど新市場開拓にも力を入れる。
24日でALPS処理水の海洋放出から1年となる。農林水産物の輸出は中国などの輸出規制の影響で減速し、24年上半期の輸出額は対前年同期比▲1.8%と減少した。
政府は2020年に2兆円、30年に5兆円とする目標を掲げており、関係閣僚会議で林芳正官房長官は「目標達成に向けて増加ペースを今まで以上に引き上げていかなければならない。多くの生産者と事業者が幅広い品目で輸出に取り組み、海外市場での需要拡大と国内の供給力向上を車の両輪として実施していくことが必要だ」と強調した。
政府が輸出拡大戦略のなかで定めた重点29品目はすべて輸出額が増加している。
米の輸出額 5年で倍増
この問題で関係閣僚会議が開催された2019年と比べると2023年の米の輸出額は5年間で+103%と倍増以上の105億円となっている。重点品目のなかでもっとも伸び率が高いのが米で、米国や香港でおにぎり店を中心とした外食の需要が増加した。
緑茶は+99%の292億円。健康志向の高まりを背景に欧米を中心にラテにいれる抹茶など粉末茶の需要が増加している。
牛肉は+94%の578億円。和牛カット・調理技術の教育活動の実施や、輸出先が求める衛生基準に適合した処理施設の認定などの取り組みが輸出増につながった。
かんしょは+71%の29億円となった。糖度が高く見た目もいい日本産がアジアで焼き芋として食べられており需要が好調だ。端境期の供給力を強化するため北海道で産地を育成し、規格の統一を行ってリレー出荷に取り組んでいる。
今後、輸出拡大ペースを加速化するため「フラッグシップ輸出産地」(米では年間1000t以上の安定的継続的な実績が必要など要件がある)の認定を進めるとともに、認定産地が意欲的な目標を定めて取り組む場合は各種の支援策を優先的に措置する。
生産流通拠点の整備や輸出先のニーズに合わせて認証を取得するなど、ハードとソフトの一体的な取り組みを支援する「新基本法実装・農業構造転換支援事業」を来年度予算で要求し創設する。
品目別の対策では輸出向けの精米施設や旺盛なパックご飯の需要に応える拠点施設の整備などに力を入れる。
イチゴは果皮が硬く輸送性の高い輸出に適した優良品種の導入や、輸出先で残留農薬基準に違反しないよう防除方法の見直しも推進する。
牛肉はモモ、カタなど部位の需要拡大とともに、高度な処理機械の導入や、施設の整備・認定を推進する。
新たな市場拡大も課題だとして、認定品目団体と商流構築を担うジェトロ、ブランディングを担うJFOODが連携して、現地系スーパーやレストランなどの新市場を開拓する仕組みを構築する。新市場開拓プロジェクトとして重点的に支援する。
会合では坂本農相など関係閣僚から、政府として中国など科学的根拠に基づかない輸入規制撤廃に向けた働きかけを行うことも確認された。
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