初動5年で施策集中実施 麦・大豆の増産と水田政策の見直し 政府の農業基盤強化本部2024年8月28日
政府は8月27日に第8回食料安定供給・農林水産業基盤強化本部を開き、9月から本格化する基本計画の検討方向を決めた。
基本計画の策定に向けて8月29日に農相が食料・農業・農村政策審議会に諮問し議論を開始する。それに向けて政策課題と検討を方向を政府として整理したもの。
食料安全保障の強化では輸入依存度の高い麦・大豆の増産と、2027年度以降の水田政策の見直しを検討する。また、輸出拡大に向け農地の大区画化や有機農業の推進などで産地育成を図る。
生産資材の確保・安定供給、安定的な備蓄・輸入の確保、合理的な価格の形成などが課題となる。25年度概算要求では輸出産地形成へ今度より拡充し197億円を要求する。安定的な備蓄と輸入の確保では民間在庫の実態調査や、不足時における食料供給モデル構築のための食料供給困難事態対策事業として新規に3億円を要求する。
環境と調和のとれた食料システムの2027年度を目標に新たな環境直接支払交付金を創設する。25年度予算では前段階の取組みとして、単収が不安定な有機農業移行初期の交付金単価を10a当たり1.2万円を1.4万円に引き上げて支援するため予算額を31億円に拡充して要求する。
農業の持続的発展に向けては25年度予算で「地域計画実現総合対策」を創設して地域計画を核とした共同利用施設の新設や再編、農地の引き受けに必要な機械の導入を支援する。概算要求では482億円を要求する。
また、「スマート農業技術活用促進集中支援プログラム」を創設し、スマート新法に基づく技術開発と実用化、サービス事業体の育成・活動の促進などを支援する。概算要求では410億円を要求する。
岸田文雄首相は基本法改正を受け「初動5年間を農業構造転換集中対策期間として集中的に取組みを進め、農林水産・食品分野の政策の最構築を進める」と述べたうえで、麦・大豆の増産や水田政策の見直しなど、「これらの取組みを重点的に議論を行い、効果的な施策を基本計画に盛り込んでほしい」と指示した。
また、会合では米の需給状況とこども食堂などへの政府備蓄米の無償交付の現状についても説明した。
米の需給は全体としてひっ迫している状況ではなく十分な在庫量が確保されていることを坂本農相は説明した。
首相は農相に対して「消費者の立場に立って米の流通不足の懸念に対処し引き続き市場を注視し円滑な流通に取り組んでほしい」と指示した。
また、2020年度からごはん食を提供するこども食堂などに政府備蓄米を無償交付しているが、岸田首相は「来月初頭から、現在全国10か所の申請窓口を全都道府県域に設置するとともに、通年での申請を可能とする体制を体制を来月からスタートしてほしい」と指示した。政府備蓄米の無償交付は2023年度は486件、140トン交付された。
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