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新基本計画 議論スタート 来年3月に答申 食農審議会2024年8月29日

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農林水産省は8月29日、食料・農業・農村審議会と企画部会の合同会議を開き、坂本農相が審議会に食料・農業・農村基本計画の見直しを諮問した。9月後半から企画部会での議論や地方意見交換会を開催し、来年3月に答申する。政府はそれを受けて3月末に新たな基本計画を閣議決定する。

坂本農相から諮問を受け取る中嶋会長代理

坂本農相から諮問を受け取る中嶋会長代理

6月に公布・施行された改正食料・農業・農村基本法のもとでの最初の基本計画となる。
改正基本法は食料安全保障の確保、環境と調和のとれた生産から流通、消費までの「食料システム」の確立、人口減少下での農業の持続的発展と地域維持などを基本理念に掲げている。
坂本農相は「基本理念の実現に向けて施策を集中的に実施していくため、今後5年間の施策の方向を示す極めて重要な計画」と述べるとともに、農業者だけでなく、食に関わる事業者、地方自治体、消費者まで幅広い関係者が一体となって取り組むことが大切だとし「各界各層のさまざまな意見を聞き、基本計画を実効性あるものにできるよう議論を尽くしたい」と述べた。


審議会では農水省が基本法改正の概要とわが国の食料安全保障をめぐる情勢を報告した後、意見交換した。
JA全中の山野徹会長は「実効性ある施策を具体化することが重要だ。とくに自給率の向上とその他の食料安保に関する目標は、目標達成に向けた着実な実践を不断の見直しを行うことを見据えて、意欲的な目標を設定する必要がある」と強調し、「厳しい実態にある農業者が将来にわたり展望を持って営農に取り組める基本計画となるよう議論していきたい」と述べた。
全国農業会議所の稲垣照哉専務は「農業者、農地、所得と農業予算を減らさないことが重要。新規就農を増やす仕組みをいかにつくるか、希望が持てる計画にしなければならない」と述べた。
日本農業法人協会の齋藤一志会長は、最近の米の需給状況に触れ「米価格のフィーバーはこれでいいのかと思う。来年の暴落が心配」と述べるとともに、カントリーエレベターなど共同利用施設が老朽化し「10年もすれば使用不能になる」として農業インフラの整備を「新たなテーマとして検討する時期になっている」と提起した。
農林中金総研の小針美和主任研究員は生産から消費までの関係者で議論している合理的な価格形成について「総論賛成、各論反対の状況だが、議論を積み重ねて結節点を見つけ出すことが必要だ」と述べたほか、肥料と飼料の国産確保については「耕畜連携や循環型経済が重要で水田利用の仕方とも結びつけていく必要がある」などと話した。


南阿蘇村の米農家の大津愛梨O2ファーム共同代表は気候変動を指摘。高温が続き熱中症になりかけたと言い、「人口減になかで早朝と夕方しか農作業できないのでは、賃金も払えない。土地利用型農業は不利だが米、麦の先行きが不安。日本人が飢えなくて済むかの基本計画となる」などと実情を話し、中小規模の農家として「意見を出していきたい」と述べた。
審議会の大橋弘会長は施策の検証は重要だが、「PDCAのC(検証)だけでなくA(行動)をどうするかが大事。AのためのCという考えで検証しなければならない」と指摘した。
中嶋康博会長代理は「関係者が自分事として取り組んでほしい。消費者にも自分事として取り組んでもらう必要がある」と強調した。


検討期間は6か月だが、気候変動や人口減少下でのDX化なども課題とある。企画部会は来年3月までに13回開く予定。また、今回の基本計画は10年後を見据えた5年計画ではなく、5年後を見据えた計画とすると農水省は説明した。

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