【2024総選挙】「令和の米騒動」の教訓どう活かす? きょう公示の総選挙 与野党の農政公約は2024年10月15日
きょう(10月15日)公示、27日投開票の第50回衆院選では、物価高、異次元緩和見直しの下、経済政策も争点となる。スーパー店頭から米が消えた「令和の米騒動」もあり、与野党の多くは米問題も公約に盛り込んだ。水田農業政策を中心に、与野党の公約をまとめた。
●自民 石破色はこれから?
自民党は「米の安定供給に向け、需要に応じた生産・販売が行われるよう、水田活用のための予算は責任をもって恒久的に確保します」と、これまでの農政を基本線で踏襲する。ただ「更に、将来にわたって安定運営できるよう、水田政策を見直します」と付け加えており、生産調整に批判的で所得補償(直接払い)に前向きな石破カラーがどう出るかも注目される。
●公明 合理的価格形成を後押し
公明党も「魅力ある農林水産業の構築に向けて、デジタル技術の活用による生産性向上や、環境負荷低減の取り組み等による付加価値の向上、猛暑など環境変化に左右されない新品種等の開発・導入、合理的な価格形成に向けた環境整備等を後押しし、所得の向上を図ります」と、既存農政の着実な推進をうたう。
●立憲 「戸別所得補償」リニューアル
野党では、農政でも「転換」のアピールが目立つ。立憲民主党は「7つの約束」のうち農政を「地域再生」に位置付け、「かつて実施された農業者戸別所得補償制度を、食料安全保障の確保と多面的機能の発揮に貢献する農業者の所得向上等に資する農地に着目した直接支払制度に転換します」とする。「需要に合わせた生産」の結果が米不足だった面もあり、直接支払いへの転換は有力な選択肢といえる。
●維新 米を1.5倍に増産
「抑える農政から伸ばす農政」への転換を掲げる日本維新の会は、「コメの生産量の1.5倍増を目指します」「コメの輸出を大幅に拡大し、それに従ってコメの生産量を拡大して、『国内需要に合わせたコメの生産』の段階的撤廃を目指します」と打ち上げ、「農地の集積・集約・大区画化」「法人経営」を「伸ばす」原動力と位置付ける。たしかに米の輸出は伸びているが2023年でも約3.7万トン(米加工品を含めても5.8万トン)で、収穫量662万トンの0.56%ほど。輸出主導で米の生産を1.5倍にするのは容易ではない。
●国民民主 「食料安全保障基礎支払」導入
国民民主党は「米の需給調整は国の責任で行うとともに、『営農継続可能な農業者の所得向上』を最優先に考え、適正な価格形成に向けた環境整備を消費者の理解を得ながら進めるとともに、『食料安全保障基礎支払』(含「環境加算」「防災・減災加算」)を導入します」と需給調整と直接支払いの組み合わせを提案する。
●共産 「生産費と農家手取りの差を補てん」
共産党は、主食の安定のため「ゆとりある生産量を確保する」とする。需要をこえた生産がされれば米価は下がるが、備蓄米の買い上げ、放出を価格調整に用いるとともに、「米農家に生産費を保障するため、米生産費の平均と当該年度の米販売価格(農家手取り)の差額を補てんする制度を創設する」と提案する。低所得者などへの食料支援、WTO協定にもとづき米国などから輸入しているミニマムアクセス米の輸入削減・廃止も掲げた。
●社民 「田んぼの底力」活かす
社民党は、持続可能な農林水産業のためには新自由主義的農政改革からの転換が必要だと主張。昨年統一地方選時の政策集では「戸別所得補償制度を復活・拡充して規模の大小を問わず稲作農家経営をしっかりと支えます」「生産調整を行わず『田んぼの底力を活かす農業改革法』を制定します」とした。学校給食を週4回以上は米飯とするなど日本型食生活を普及することも提案している。
●れいわ、参政党も「所得補償を」
10月15日現在、公式サイトを見る限り米に特化した公約は見当たらないが、れいわ新選組は「農林水産業の所得補償......を充実させる」とともに「余剰農産物については国が買い上げ、国内外の食料支援に回す」とする。参政党は「農林水産事業者の所得補償と兼業農家公務員の拡充」を掲げている。
●求められる踏み込んだ論戦
「需要に応じた生産」を基本とするこれまでの農政の結果、米不足が起きたこともあり、主要9政党のうち、与党である自民、公明両党と維新を除く6党が所得補償、直接払いを掲げているのが特徴的だ。担い手と水田が減り続けるなか、日本の主食とその生産者を将来にわたってどう守るか。踏み込んだ論戦が期待される。
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