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キャベツ収益33%減 適正価格形成を議論 米と野菜で作業部会設置 農水省2024年10月25日

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コストを考慮した農産物の価格形成の仕組みづくりを検討している農水省の「適正な価格形成に関する協議会」は10月24日に第6回会合を開き、品目別に検討する作業部会(WG)を米と野菜でも設置することを決めた。11月に初会合を開く。

10月24日に開かれた第6回適正な価格形成に関する協議会

10月24日に開かれた第6回適正な価格形成に関する協議会

これまでの議論で生産者団体は、すでにWGが設置されている飲用牛乳、豆腐・納豆だけでなく米や野菜を含む幅広い品目でコストを考慮した価格形成の仕組みづくりを求めてきた。

一方、小売団体は、この議論の出発点が飲用牛乳など特定品目について供給の持続性を検討するものだったとして「法制化に際して品目はむやみに広がらないよう歯止めが必要」と主張していた。

今回の会合でも米と野菜についてWGを立ち上げることについて一部で反対の声もあったが、概ね設置に賛同が得られたという。WGでは米と野菜の取引やコストの実態の詳細な検証を行い、それぞれ「供給の持続性に支障が生じているかどうか」を議論する。

農水省は米の作付面積の3分の1は、農地集積や生産性向上によるコスト削減が難しい中山間地域が担っていることや、水稲作付経営体全体の7割で後継者が確保されていないことなどを説明。全農も資料を提出して、2020年を100とした生産資材価格指数が現在では肥料139、農薬115、燃料146と高騰しているのに対して、農畜産物価格は112にとどまっていることを示すとともに、農業生産の約4割を占める中山間地域では人口減少と高齢化の進展で「生産面積の減少が予想され安定供給が危ぶまれる」と強調した。

【野沢校正済】〈画像 写真〉(野沢)第6回適正な価格形成に関する協議会-10.jpg

野菜について農水省はキャベツを例に2023年の生産コストは2021年に比べて14%上昇したが、売上高は5%減少し、生産者の収益は33%減少しているというデータを示した。全農もキャベツは2015年以降、ほんとんどの年で市況価格より生産費のほうが上回っているデータを示し「需給事情と品質評価に加えて、持続的な供給に要する費用を考慮した価格形成が望まれる」と主張した。

【野沢校正済】〈画像 写真〉(野沢)第6回適正な価格形成に関する協議会-13.jpg

一方で米では主食用米以外への転作や収入低下を補う収入保険制度、野菜では指定野菜、特定野菜の市場価格が低下した場合に生産者補給金があり、委員からはこれらの政策とWGとの関係を問う指摘が出たが、農水省は「政策の影響や効果も含めて検証していく。転作で(主食用米の)価格を維持しているから価格転嫁はいいではなく、物価上昇しているなかでコストを価格に転嫁して消費者に負担してもらうことが持続性確保になる」という。

米については銘柄が多く、また、土地条件によるコストの違いもある。野菜ではどの品目を対象にするかも議論になる。それぞれ取引の実態とコスト構造から検証を始めることになりそうだ。

一方、飲用牛乳と豆腐・納豆の各WGは、これまでの検討を踏まえてコスト指標の作成や、その活用方法等について議論を深めるとともに、その他の品目についてもコスト構造など実態把握を行うことで合意した。

農林水産省は来年の通常国会への法案提出に向けて内閣法制局など関係省庁と調整しながら法案の検討を進めている。

コストを考慮した取引の考え方は、需給や品質を基本としつつ、費用を考慮した価格を当事者間で合意して決めるというもの。売り手はコストを把握し買い手に説明、買い手は説明されたコストを考慮する。個々の農業者ではコストを買い手に説明して価格に反映させることは難しいため、農業団体がコスト指標を使って買い手と価格交渉する。これを法律でルール化することをめざす。

同時に買い手側には、価格転嫁だけではなく、国産原材料の使用や環境負荷低減など付加価値を向上させることを求める声がある。そのため農業と食品産業の連携強化や、環境負荷低減の取り組みを国が支援する法案も合わせて検討している。

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