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基本計画の策定と実践 「地域計画」が鍵 食農審企画部会2024年11月21日

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農水省の食農審企画部会が11月20日に開かれ、品目別の生産、消費、流通の課題と基本計画に盛り込む対応方向を農水省が示し、意見交換した。

【野沢校正済】〈画像 写真〉(野沢)食農審企画部会 食料供給.jpg

農水省は主食用米の需要減が引き続き見込まれるなか、稲作農業の体質強化を図るためには、地域計画を活用した農地の集積・集約化や多収品種、高温耐性品種の開発、スマート農業の導入促進が必要だとしている。

麦・大豆では、農地の集約化やブロックローテーションの導入、畑地化、大規模化に向けた受託組織の育成などで生産性向上を図ることが必要としている。

また、2027年度以降の水田政策の見直しを今回の基本計画のなかで検討することにしている。

JA全中の山野徹会長は11月の全中理事会で決めたJAグループの政策要請をふまえ、水田政策については「農業者の急減で将来は国内需要を生産がまかなえない可能性を見据えて政策目的を大きく見直す必要がある」と指摘し、「持続的に主食用米の生産を可能とする水田生産基盤の維持を目的とした制度に段階的に見直してはどうか」と提起した。

麦・大豆への支援策については「持続的な増産に向けたブロックローテーション、輪作、二毛作などによる生産性の向上と需要創出を目的とした制度としてはどうか」と話した。

その他、老朽化する共同利用施設の更新や再編への抜本的な支援、飼料価格の高止まりと需要減で危機的な状況にある肉用牛生産について、消費者に多様なニーズに答える牛肉生産、国内飼料の生産、利用などを基本政策の方向にすべきと提起した。

農水省は、野菜や野菜や果樹でも地域計画を活用した農地の集積による産地づくりやスマート農業の導入、機械化の重要性などを提起している。

「地域計画」は1632市町村の2万2135地区で策定することになっており、来年3月末までに策定することになっている。しかし、7月末時点で策定されているのは635地区、3%に過ぎない。江藤農相は12日の就任会見で「非常に期限が迫っていて正直焦っている」と述べ、「地域の話し合いなくして将来像の絵は描けない」として農水省の今の大きな仕事と強調した。

地域計画は人と農地、生産する品目を横断的に地域自らが計画するもので前回の11月6日の企画部会で意見交換が行われた。ただ、地域では農地利用の話し合いと合意は進まないとして、地域農業を大きく転換させるには行政による「トップダウン」での計画づくりが必要との意見が複数出された。

これに対して農水省は「迂遠なように見えながらも地域の合意を得て計画づくりを進めていくのがいちばん近道」などと話し、農地の引き受け手がいない「白地の多い」計画となっても、次の段階では隣の地域と合わせて範囲を広くするなど計画をステップアップしていく必要性を強調した。

20日の会合で全国農業会議所の稲垣照哉専務は、野菜や果樹地帯ではJAの生産部会と連携するなど作目ごとのルートで地域計画づくりを進めることを行政も支援すべきと指摘した。

(株)ファーマンの井上能孝代表取締役はドローンなどを活用して地域の農地の現状を画像で可視化して、それをもとに地域で話し合いを進めて成果を挙げた例を話した。
浅井農園の浅井雄一郎代表取締役は次期基本計画は新たな農業像に向けたアクションプランとして作成されるべきで、目標数値などを盛り込んだ基本計画は来年3月に全国で策定される「地域計画の結果をふまえて策定すべきではないか」と提起した。現在のスケジュールでは地域計画づくりを現場に促しつつも、3月末の閣議決定を睨む。これについて浅井氏は策定された地域計画と基本計画の「ギャップが大きいことも考えられる」と懸念した。

農水省は次期基本計画では改正基本法で明記された少なくとも年1回は数値目標など達成状況をフォローアップしていくことも盛り込むとして、各地の地域計画を分析して施策の見直しに反映させる考えを示した。また、地域計画自体も「ブラッシュアップしていくことも重要」と指摘した。自給率や農地、農業者数などどのような数値目標を設定するかは次期基本計画では重要だが、同時に達成状況の点検と、それに基づく施策の見直しも重要な課題だ。

部会ではこのほか農地集積やスマート農業の導入など、品目横断的に共通の課題があることから、それらをまとめて「品目群」として生産振興策を考えることや、食料安保の確保に重要となる品目を優先して振興を図ることや、地域の栽培特性をふまえた「産地の最適化」を考える必要性などの意見も出された。

同様に輸出についても輸出に向く品目と向かない品目を見極めて戦略を立てるべきとの指摘もあった。

また、気候変動リスクはどの品目にも関わることだが、その影響は品目によって異なることから「各品目ごとに対策を考え(高温耐性品種の開発などの)ロードマップを作成すべき」との意見もあった。

次回は12月4日に飼料など生産資材をテーマに開く。

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