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水田活用の直接支払交付金 十分な予算を 自民議員が農相に要請2024年12月6日

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自民党の総合農林政策調査会の宮下一郎会長ら自民党の農林議員は12月5日、農林水産省を訪れ江藤拓農相に米政策について要請した。

江藤農相に要請する自民党の宮下総合農林政策調査会長ら。

江藤農相に要請する自民党の宮下総合農林政策調査会長ら。

自民党は12月4日に総合農林政策調査会、農林部会、農業基本政策検討会の連盟で「米政策における水田活用と食料安全保障の強化について」を決議した。

同日はこれを江藤農相に手渡し、25年産でも水田活用の直接支払交付金をはじめとした十分な予算を確保することや、基本計画のなかで将来に渡って安定運営できる水田政策への見直しの方向性について検討することなどを要請した。

江藤農相はこの日の予算委員会で水田活用の直接支払交付金について「根本的に見直す」と表明したことを議員に説明し、食料安全保障のために国民から納得が得られる政策とするとの考えを示した。

そのうえで「党との連携がいかに大切かは分かっている。役所のなかでしっかり詰めてできるだけ早く党にも示したい」と述べた。

自民党の決議は以下のとおり。

米政策のおける水田活用と食料安全保障の強化について

令和六年十二月四日
自由民主党 総合農林政策調査会 農林部会 農業基本政策検討委員会

米政策については、平成三十年産から行政による生産数量目標の配分を廃止し、生産者及び集荷業者・団体が中心となって需要に応じた生産・販売を行うこととしたところであり、令和五年産米については、令和三年、四年の大規模な作付転換の実施と堅調な需要を背景に需給バランスがとれている中で、相対取引価格が前年を上回る状況となったが、八月の南海トラフ地震臨時情報の発令などで、一時的な需要の急増により店頭での品薄が生じることとなった。令和六年産米についても対前年を上回る水準で推移している。

一方で、中長期的に見れば、主食用米の需要は引き続き減少傾向にあり、米の生産力を維持していくためには、輸出用や米粉用などの新たな需要により米の市場を拡大させていく必要があるとともに、これに対応していくための米の低コスト生産を推進していく必要がある。

また、我が国の食料安全保障の確保の観点からも、輸入依存度が高く、需要のある作物である、麦・大豆や飼料作物等の生産拡大が極めて重要な課題であり、ブロックローテーションや畑地化などによりこれら作物の需要に応じた安定的な生産を行う体制を確立していく必要がある。

以上を前提としつつ、関係者が一体となって、需要のある作物の安定的な生産体制の確立を図り、将来の活力ある産地を形成することを通じて、需要に応じた生産・販売を行う農業者の所得向上と食料安全保障の強化を実現していくため、党として、政府に対し、左記の対応を強く要望する。

一 令和七年産においても、引き続き、需要に応じた生産・販売を進め、輸入依存度が高く、需要のある作物への着実な作付転換を実施できるよう、戦略作物助成や産地交付金等の「水田活用の直接支払交付金」をはじめ、十分な予算を確保すること。また、主食用米、麦・大豆や高収益作物等の需給に関する動向等について、適時適切に情報提供し、国、都道府県・地域農業再生協議会の取組はもちろんのこととして、その他すべての関係者が連携して各産地における作付け等が進むよう後押しすること。引き続き、高温耐性品種の作付けや対策技術等により、気候変動に対応できる生産体系の構築を推進すること。

二 主食用・非主食用問わず米の生産力を維持していくため、農業者・実需者双方がメリットを得られるよう、「水田活用の直接支払交付金」における戦略作物助成や産地交付金等も活用しつつ、輸出用などの新規需要米や米粉などについて市場拡大を図り、新たな米需要を創出するとともに、生産・製造コストの低減を実現すること。

また、引き続き、飼料用米の専用品種による耕畜連携の推進や、米粉用米の専用品種による生産を行うために必要な種子の確保を地方公共団体等とも連携して着実に実施すること。

三 国産麦・大豆の生産拡大に向け、作付けの団地化や新たな技術の導入等の推進による生産性の向上、安定供給体制の確保により、需要の拡大を図るとともに、生産者が安心して生産拡大できるよう、引き続き調整保管等の取組を進めること。
四 担い手が減少していく中で、飼料自給率向上と粗放的栽培による農地管理の実現に向け、生産性が高く需要のある飼料作物の生産の拡大に向けた措置を講ずること。

五 地域の実情を踏まえ、ブロックローテーションの定着、あるいは畑地化に向けた産地の取組が円滑に進むよう支援すること。

麦・大豆等の輸入依存度が高い穀物や飼料作物などの畑作物の本作化を着実に進めるため、「畑地化促進事業」について、畑地化に取り組む産地への支援に必要な予算を引き続き確保するなど、輸入依存度が高い穀物等の増産につながる措置を講じること。

六 米の備蓄については、その供給が不足する事態に備え、安定的な運営を行うこと。今夏の米の一時的な品薄状態は、政府備蓄米を放出するような事態ではなかったが、消費者が安心を得られるよう、情報把握の強化及び適切な情報発信に努めるとともに、今回のような端境期における需要急増についてはへ引き続き的確な対応を行っていくこと。

七 資材価格の上昇等について消費者への積極的な情報発信を行うとともに、米の価格形成について、政府において食料の持続的な供給に要する合理的な費用を考慮した価格形成の仕組の検討が進められている中で、取引やコストの実態等の詳細について把握を進め、コスト指標の作成など実効性のある取組により、コストを考慮した取引を推進していくこと。

八 食料・農業・農村基本計画の見直しの中で、需要に応じた生産・販売を基本としつつ、食料安全保障の強化を図っていくため、水田を活用した米・麦・大豆等の生産性向上等を進めていく観点から、将来に渡って安定運営できる水田政策への見直しの方向性について検討すること。        

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