農業分野に企業が熱視線 農業参入フェア2024 農水省・日経ビジネス2024年12月12日
法人の農業参入を促進するため、農業参入を希望する法人と法人を誘致したい地域の具体的なマッチング等を行う「農業参入フェア2024」(東京会場)が12月11日、都内で開かれた。自治体・企業がブースを出展。農業分野への参入を検討中の企業担当者ら約400人が来場し、出展者と熱心に話していた。
農業参入を考えている企業担当者らでにぎわう会場
農水省と日経ビジネスが共催。同フェアの大阪会場は11月18日に開催され、191名が来場した。
農水省の杉中淳経営局長は「高齢の農業者がリタイアする中、企業の農業参入は農地集積、農業者確保の面で役割が大きい。農地所有適格法人が出資を受けやすい制度も作ったので、自己資本充実、ノウハウ活用により高度化された農業経営が期待される」とあいさつした。
農水省経営局からは企業参入への期待や成功事例、支援策の紹介があった
経営局の高嶋政幸専門官が、宮崎県日向市のへべす(柑橘)産地化、アイリスオーヤマが出資し大手コンビニにおにぎり等を供給する舞台ファーム(仙台市)の例などを紹介し、「地域計画を作る話し合いが行われている今が参入のタイミング。支援策も活用してほしい」と説明した。
東京農業大学の渋谷往男教授が「企業による農業参入の理論と戦略」と題して基調講演した。関谷醸造(愛知県)による酒米づくりは「とれた地元産米を酒づくりに利用し大手と差別化した」。建設会社・愛亀(愛媛県)による水稲・野菜栽培は「建設工事が少ない時期にも仕事を創出し技能人材を温存した」と解説した。
企業規模の大小、農業がその企業の事業のバリューチェーン上にあるかどうかによる違いを指摘。M&Aのメリットと留意点にもふれ、「農業は魅力的な新規事業分野だが、初期投資から黒字化まで6、7年かかるのが普通だ。自社の業種や規模を踏まえ、本業とのシナジーを考え判断してほしい」と説いた。
大和証券グループ、大和フード&アグリの久枝和昇社長とイオンアグリ創造の福永庸明社長が企業事例を発表した(要旨別掲)。久枝社長は「企業は個人の農家よりコストがかかるので、『作る』面でも『売る』面でも高いレベルが求められる。パプリカやトマトで経験を積みながら、金融事業につなげたい」。福永社長は「食品安全、労働安全、環境保全が経営安全を支える。流通段階での『できない』を『できる』に変えると付加価値が付く」と語った。
茨城県のブースでは、米農家出身の農業経営課職員が県産品の魅力などをアピール
講演、発表の間には展示ブースでの説明や相談が行われ、36のブースで出展した自治体、企業と参加者が交流した。広島県のブースでは、カープカラーの赤い法被を来た県職員が「『ひろしま型』新農業ビジネスモデル」を提案。農林水産局就農支援課の担当者は「『農地が借りられます』だけではなくビジネスモデルを提案することで、企業の参入、定着を支援したい。まだ提案段階だが、具体化していく過程でJAや農家との接点も増え、共創が広がると思う」と話していた。
タキイ種苗は、取り扱い品種に加え産地レポート満載の『タキイ最前線』2025春種号を配布、
来場者と話が弾んだ
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