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【年頭あいさつ 2025】基本法理念 実現の時 江藤拓 農林水産大臣2025年1月2日

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新年あけましておめでとうございます。
2025年もJAcom農業協同組合新聞をよろしくお願い申し上げます。
JAcomでは、農林水産大臣をはじめJAグループ全国連、農業関連団体のトップなどによる年頭のあいさつを順次掲載します。

江藤拓農林水産大臣江藤拓
農林水産大臣

明けましておめでとうございます。

令和七年の新春を迎え、皆様の御健勝をお祈りいたしますとともに、我が国農林水産業及び農山漁村の一層の発展に向けて所感の一端を申し述べ、年頭の御挨拶とさせていただきます。

能登地域においては、昨年の元日に発生した令和六年能登半島地震、九月の豪雨により、多くの被害が発生いたしました。
地震と豪雨からの復旧・復興を一体的に推進するため、農地・農業用施設の復旧などの総合的な支援対策を講じ、農林水産業の再開を切れ目なく支援してまいります。

我が国の農林水産業は、農地を守り、山を守り、漁業を通じて国境を守る、といった役割を担っている、まさに「国の基」であり、国民の皆様にとってかけがえのないものです。
しかしながら、我が国の農林水産業を取り巻く環境は大きく変化しています。
ロシアのウクライナ侵略の際には、小麦や肥料、飼料などの価格が高騰し、国民生活は多大な影響を受け、生産現場も苦境に追い込まれました。
また、基幹的農業従事者は現在、約百十六万人でありますが、その約八割は六十歳以上の方、平均年齢は約六十八歳であり、二十年後には約三十万人まで減少することが懸念されています。
基本法が制定されてから二十五年が経過する中で、このような環境の変化に対応し、時代にふさわしい基本法とするため、昨年の通常国会において農政の憲法とされる、「食料・農業・農村基本法」が改正されました。

しかしながら、基本法はあくまで理念法であり、この理念を実現するためには、まずは「食料・農業・農村基本計画」を策定し、それに基づく制度設計、そして、必要な予算の確保に努めてまいります。
今まさに、日本の農政は大転換が求められています。このため、初動五年間で農業の構造転換を集中的に推し進められるよう、農地の大区画化、共同利用施設の再編・集約化、スマート農業技術の導入加速化など、計画的、かつ集中して必要な施策を講じることにより、強い生産基盤を確立し、人材の確保を図ってまいります。

以下、本年における農林水産行政の主な課題と取組の方針について申し述べます。

【食料安全保障】
食料安全保障政策については、世界の食をめぐる情勢が極めて不安定な要因を抱えている中、我が国の農地を最大限活用し、国内の農業生産の増大を図り、食料自給率を向上させることが重要です。その上で、安定的な輸入と備蓄の確保を図るため、輸入に係る調達網の強靱化等に取り組んでまいります。
また、食料安全保障の強化を図る観点から、将来にわたって安定運営できる水田政策へと根本的な見直しを行うこととします。その方向性については、新たな基本計画の策定や、令和9年度の見直しに向けた水田政策の在り方の検討の中で議論を深めてまいります。
さらに、先の通常国会で成立した食料供給困難事態対策法に基づき、食料供給困難事態の判断基準等を定める基本方針について、本年春の策定を目指し、検討を進めてまいります。

【合理的な価格の形成】
資材費等の恒常的なコスト増を生産者だけで賄うことが困難となる中、国民の皆様に持続的な食料供給を可能とするためにも、合理的な価格の形成が必要です。
このため、生産、加工、流通、小売、消費に至る食料システム全体で、関係者の合意により合理的な価格の形成を推進する新たな仕組みを検討してまいります。

【農林水産物・食品の輸出促進】
国内市場の縮小が見込まれる中、食料の供給能力を維持するためには、輸出を促進することで、農業・食品産業の生産基盤を確保していくことが必要です。
このため、中国に対しても、日本産水産物の輸入解禁の早期実現、日本産牛肉の輸入再開、精米の輸入拡大を求めてまいります。また、輸出先国の規制・ニーズに対応した輸出産地の育成、非日系も含めた新市場の開拓、サプライチェーンの強化、優良品種の戦略的な保護・活用などを推進してまいります。

【環境と調和のとれた食料システム】
環境と調和のとれた食料システムの確立が、基本法の基本理念として新たに位置付けられました。
この実現に向け、化学肥料・化学農薬の使用低減や有機農業の拡大、環境負荷低減の取組の「見える化」、J―クレジット制度の活用の推進、補助事業において最低限の環境負荷低減の取組実践を義務化するクロスコンプライアンス等を実施してまいります。さらに、先進的な環境負荷低減の取組を後押しする、新たな環境直接支払交付金の創設を検討してまいります。

【人・農地】
人口減少に伴い、農業者の減少が避けられない中で、持続的な食料供給を図るためには、新規就農の促進とともに、それでも農業者の数が減少する場合にも対応可能な強い生産基盤が必要です。
規模の大小を問わず、家族農業を含めた、効率的かつ安定的な経営体の育成・確保、円滑な経営継承に取り組むほか、多様な農業者とともに、食料の生産基盤である農地が地域で適切に利用されるよう、地域計画の策定を進めてまいります。その上で、地域計画に基づき、農地の集約化や計画的な保全、共同利用施設の再編・集約化などを進めてまいります。

【スマート農林水産業】
農業者が減少する場合にも対応可能な強い生産基盤を構築するため、スマート農林水産業の推進による生産性向上等を加速化してまいります。
具体的には、スマート農業技術等の開発・実用化や、経営、技術等において農業者をサポートするサービス事業体の育成・確保を推進してまいります。さらに、スマート農業技術の活用とこれに適合するための生産・流通・販売方式の転換への取組、スマート農業技術の導入に資する農地の大区画化や、情報通信環境の整備を後押ししてまいります。

【農業生産の基盤の整備】
農業生産活動を継続していくためには、農業・農村の基盤整備が欠かせません。
このため、農業の生産性向上や農村地域の防災・減災、国土強靱化を実現するため、水田の汎用化・畑地化、農業水利施設の長寿命化等を推進してまいります。さらに、農村人口の減少下にあっても、営農や農業水利施設等の保全管理が適切に行われるよう、土地改良区の運営基盤の強化も含め、土地改良制度の検討を進めてまいります。

【農村の振興】
農村を支える人材を確保し、活力ある農村を次世代に継承していくため、日本型直接支払により地域を下支えしつつ、農泊・六次産業化・農福連携、農村RMOの形成、中山間地域等における基盤整備や、スマート農業技術の開発・実用化等を推進してまいります。特に、中山間地域等直接支払については、小規模な集落の活動の継続が困難となってきていることに鑑み、地域の声を聞きながら進めてまいります。
さらに、鳥獣被害の防止やジビエの利活用を進めてまいります。

【畜産・酪農】
畜産・酪農については、中山間地域を始め、地方を支える重要な産業であり、耕畜連携などによる国産粗飼料等の生産・利用の拡大を進めるとともに、和牛の生産・供給基盤の強化や、輸出対応型の食肉処理施設の整備、和牛肉の消費拡大、脱脂粉乳の需給改善に向けた取組を推進してまいります。
また、畜種ごとの経営安定対策や金融支援などの各種施策を総合的に講じ、生産者の経営改善に向けた取組への支援を行ってまいります。

【家畜防疫】
家畜伝染病については、昨年十月以降、国内で高病原性鳥インフルエンザの発生が続いています。さらに、アフリカ豚熱の侵入リスクがかつてないほど高まっており、最大限の警戒が必要です。
このため、飼養衛生管理の徹底を基本とした、発生予防・まん延防止対策と水際での侵入防止対策に、都道府県等と連携して全力で取り組んでまいります。

【食品産業】
食品産業については、食料システムの持続性の確保に向けた、食品事業者の取組を促進するための新たな仕組みを検討してまいります。
また、産地・食品産業が連携した国産原材料の安定調達、フードテックなどの新技術の活用等による新たな需要の開拓等を推進してまいります。さらに、円滑な食品アクセスの確保を図るため、中継共同物流拠点の整備やラストワンマイル配送に向けた取組、フードバンク等を通じた、食料提供を円滑にする地域の体制づくり等を進めてまいります。

【森林・林業】
森林・林業政策については、再造林等に責任を持って取り組む林業経営体に対し、森林の集積・集約化を進める新たな仕組みを検討してまいります。
また、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、路網や加工施設の整備、製材・CLTを用いた、建築物の低コスト化等を通じた木材の需要拡大、担い手の育成など、川上から川下までの取組を総合的に進めてまいります。あわせて、森林整備や治山対策に取り組むことにより、森林吸収源の機能強化と国土強靱化を進めてまいります。
さらに、花粉症対策を着実に実行してまいります。

【水産業】
水産政策については、複合的な漁業を推進するため、複数の魚種等を対象とできる漁業共済制度の検討を進めてまいります。
また、世界第六位の排他的経済水域を誇り、大きなポテンシャルを持つ日本の水産業の維持・発展を支えるため、担い手の育成・確保や高性能漁船の導入、スマート化に向けた取組を進めてまいります。さらに、漁村の活性化に向けて、インバウンドの需要開拓や、地域資源等を活用する海業の全国展開を推進してまいります。
あわせて、海洋環境の変化に対応するため、水産資源管理を着実に実施するとともに、漁業経営安定対策を講じつつ、新たな操業形態への転換、輸出拡大等、水産業の成長産業化を実現してまいります。
また、ALPS処理水放出を受けた、一部の国・地域による科学的根拠なき輸入規制の撤廃を求め、水産事業者の取組への支援に引き続き万全を尽くしてまいります。

【東日本大震災からの復興】
東日本大震災から、まもなく十四年が経過します。
原子力災害被災地域において、依然として営農再開や水産業・林業の再生、風評払拭等、取り組むべき課題があります。引き続き、万全の支援を行ってまいります。

以上、年頭に当たり、農林水産行政の今後の展開方向について、私の基本的な考え方を申し述べました。我が国の農林水産業を生産者の皆様が「やりがいと、希望・夢」を持って働ける産業としていくとともに、その生産基盤を次の世代に確実に継承していくことは、国家の最重要課題であります。ときにはこれまでの殻を破る大胆な政策転換にも挑み、これらの課題に取り組んでまいります。

本年も、農林水産行政に対する皆様の御支援と御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

令和七年一月

農林水産大臣 江藤 拓

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