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「一揆は対立ではなく連携へののろし」 この機逃せば農村消える 山形県の農家・菅野芳秀さん2025年1月17日

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山形県の専業農家、菅野芳秀さん(75)は、1月16日、「令和の百姓一揆」呼びかけに込めた思いを語った。以下はその要旨。

「市民、学校、病院と連携し、新しい農のあり方を築いていきたい」と話す菅野芳秀さん(1月16日、東京・日本記者クラブ)「市民、学校、病院と連携し、新しい農のあり方を築いていきたい」と話す菅野芳秀さん(1月16日、東京・日本記者クラブ)

山形県長井市で、水田5ヘクタール、自然養鶏1000羽、納豆のための大豆2ヘクタールを息子と共に営む専業農家で、息子家族も含め7人で暮している。

国政に生の声を
3月末にトラクターデモとシンポジウムを行い、その後全国をまわって農民、地域住民の意見を聞きながら、知恵と経験を集め、「生の声」を国政に届けたい。

その一連の過程を「一揆」と呼んでいる。実力行使を伴うものではなく穏やかな取り組みだが、ただチラシ配布だけ、シンポだけで癒えるほど傷は浅くない。

最後の2軒になったら
私の集落では43軒のうち37軒が米作りをしていたが、この20年で多くの農家が消え、残るのは7軒。3年もしたらうちも含め2軒になる。42歳になる息子は「2軒になったら、畔草取りは誰がする? 水路掃除は? 2軒では無理だ」と言う。そうだと思う。

昨日、3市5町の百姓交流会が開かれ(米農家の)「時給10円」が話題になった。「さすがに10円じゃないだろう。今は100円くらいでは」という声があがったが、10円にせよ100円にせよ、農村は静かに消滅を待っている。いつ見切って辞めるか。あきらめを織り込んだ暮らしが、日本の主要穀物を作る東北のど真ん中の現実だ。

農民、農村なくしたいのか
稲作にはたくさんの機械がいるが、農機代金の高騰はすさまじく、機械が壊れた時が農業を辞める時になる。農産物価格が市場経済で決まるのは日本だけではないが、EUや米国では手厚い保護があり「市場価格=農家のインカム(収入)」にはなっていない。日本は裸の市場価格に農家が投げ出されている。

絶滅危惧種という意味では佐渡の朱鷺のようだが、朱鷺と違って保護がない。政府は、日本から農民をなくし、村社会を消したいのか。

最後の機会に
今を逃したら、いくら「金は出すから」と言われても作れなくなる。作る人がいなくなるからだ。そういう言い方は反発を招くともいわれたが、農民を殺すな、米作りを守っていこうと訴え、農民、消費者、国や自治体も連携していく最後の機会だ、という気持ちを「一揆」に込めた。対立ではなく、土と共に生きるための連携を呼びかけたい。

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