米の集荷数量 前年比21万t減 備蓄米売り渡し準備 食糧部会が了承2025年2月3日
1月31日に開かれた農水省の食農審食糧部会は、政府備蓄米の買い戻し条件付きの売り渡しと需給見通しの変更について了承し諮問どおり答申した。米の需給については委員から国が実態を把握する必要があると声が相次ぎ、「どこに米があって、誰がどんなふうに買っているか情報収集を」との意見も出た。
需給見通しでは2024年産米の生産量が10月公表の683万tから679万tへと下方修正されたことをふまえて、基本指針の生産量も679万tへ修正した。
その結果、今年6月末の在庫量は158万tと昨年6月末の153万tに次ぐ低水準となる見込みだ。
一方、2025年産の主食用米の適正生産量は683万tと10月の基本指針から変更せず据え置いた。
表・需給見通しの変更
また、備蓄運営の基本的な考え方の部分に、1年以内の買い戻しを条件に政府備蓄米を売り渡すことができることを追加した。
農水省によると24年産米の12月公表の生産量は679万tで前年産にくらべて18万t多い。一方、集荷量は12月末時点で215万tと前年にくらべて21万t少ない。
一方、集荷業者から卸売業者への販売数量は12月末時点で対前年比6.4万t増の62.6万tとなっている。
そのため12月末の集荷業者の在庫量は197万tと近年ではもっとも低い水準となっており、対前年比で48万t減となっている。
一方、卸売業者の12月末の在庫は56万t例年並みとなっている。
ただ、卸売業者は原料米の調達が厳しいという。神明ホールディングスの藤尾益雄社長は全米販が実施した64社を対象にして実施したアンケートでは系統からの販売数量提示が軒並み3割減となっており、原料米調達量は「例年の7、8割にとどまっている」と話した。
量販店にも前年実績の7、8割に販売を抑制せざるを得ず、量販店の値上げにつながっているという。
総務省が発表している消費者物価指数の12月データは食料全体が122.5だが、米類は165.1と大幅に上昇している。
このため米の価格高騰が消費に影響しないか懸念される。今年6月末までの需要量を基本指針では674万tと10月時点から変更していないが、需要動向を注視していく必要がある。
一方で供給量について昨年夏の早場米からの集荷競争の激化で供給が前倒しになったことによる不足や、Eコマースなど生産者からの直売も広がっており、生産者が顧客のために在庫を保管しているなど23年産の米不足で「米の流通に大きな変化が起きた」(藤尾氏)とみる声もあり、流通業者からは政府備蓄米の売り渡し方針を早急に示すよう求めた。
JA全中の馬場利彦専務は政府備蓄米の売り渡しは「主食用米の安定供給確保には有効な手段」としつつ、相対取引価格が下落して生産者手取りが下落することがないよう、販売数量や価格、実施時期を検討するよう求めた。
一方、25年産米の生産量は683万tと据え置いたが、多くの主産地で県の協議会が作付け増の方針を決定しており、合計で4万ha増、生産量にして16万t増となる見込みとなっている。馬場専務は「過剰作付けとなれば米価は再び下落する」として農水省が作付け動向や在庫状況など情報を提供することも重要だと強調した。
農水省は重要に応じた生産に向けて2月下旬には1月末現在の作付け意向とともに、面積情報を公表する。また、5月下旬にも4月末現在の作付け意向と面積情報を公表し、適正な主食用米の生産を促す。
また、6月末が提出期限となっている加工用米や新規需要米の取り組み計画書や水田活用の直接支払交付金に関わる営農計画書について、その変更を8月20日まで受け付けることにしている。
なお、25年産の政府備蓄米の買い入れ入札は第1回を3月上旬に公告し、4月上旬に実施する。買い入れ予定数量は20万6780t。このうち6780tはCPTPP協定に基づく豪州枠輸入数量に相当する数量。
都道府県別優先枠は18万t。産地指定のない一般枠は2万6780tとしている。
重要な記事
最新の記事
-
多収米の契約栽培で供給増へ 主食用米全体の安定供給にも寄与 JA全農2025年3月6日
-
貯金保険機構の保険料引き下げへ 有識者検討会に案を提示2025年3月6日
-
春の大玉スイカ出荷本格化 JA鹿本2025年3月6日
-
日本海側中心の大雪被害に早期の支払い JA共済連2025年3月6日
-
ニデック京都タワーに「北山杉」の木製品を寄贈 京都府森林組合連合会と農林中金大阪支店2025年3月6日
-
【人事異動】JA共済連(4月1日付)2025年3月6日
-
次世代の環境配慮型施設園芸の確立へ Carbon Xtract、九州電力、双日九州と実証事業開始 農研機構2025年3月6日
-
バイオスティミュラント新製品「ヒートインパクト」発売決定 ファイトクローム2025年3月6日
-
鳥インフル 米ワイオミング州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年3月6日
-
食用油の紙パックのリサイクルシステム構築 資源ごみとして静岡県裾野市で行政回収開始2025年3月6日
-
食品産業の複合展「FOOD展2025」10月開催 出展申込受付中2025年3月6日
-
果樹の新しい有機リン系殺虫剤「ダイアジノンMC」普及性試験を開始 日本化薬2025年3月6日
-
「オーガニック天平マルシェ」奈良・天平広場で開催 コープ自然派奈良2025年3月6日
-
野菜の機能性・健康効果に特化『野菜健康指導士』資格事業開始2025年3月6日
-
農林水産業専門の人材サービス「農業ジョブ」新機能リリース シンクロ・フード2025年3月6日
-
農薬がどの程度残りうるか 地理的・気候的条件から予測 岐阜大学2025年3月6日
-
農業に特化した就転職オンラインイベント「就農会議」参加者募集 あぐりーん2025年3月6日
-
乳酸菌発酵の力で肉を変える「乳酸菌発酵液」食肉事業者へ販売開始 明治2025年3月6日
-
日本生協連「くらしと生協」春アイテム「sweetweb.jp」で華やかに登場2025年3月6日
-
体験型野菜のテーマパーク「カゴメ野菜生活ファーム富士見」7日から営業2025年3月6日