ミニマム・アクセス米 輸入数量見直し交渉 「あきらめずに努力」江藤農相2025年2月12日
江藤拓農相は2月7日の予算委員会でミニマム・アクセス米の輸入数量見直しをWTO加盟国と交渉することについて「あきらめずに努力は続けていこうと思っている」と述べた。12日の記者会見でも「ハードルは高いが挑戦したほうがいい。これからも課題にしていきたい」とした。
ミニマム・アクセス米は米の関税化をしない代わりに導入された措置でガット・ウルグアイ・ラウンド合意に基づく。
1995年度に米消費量の4%輸入からスタートし、毎年0.8%上乗せさせるというルールだったが、日本は1999年に米を関税化したことから、上乗せ率が半減されたため7.2%となった。
それが現在まで続き数量では77万t(玄米)となっている。ただし、この数量は1986-88年を基準年とした消費量1065万tをもとに算出された数量だ。
昨年の米の需要量は約700万t。この30年間で消費量が減っていることから、7日の衆議院予算委員会で立憲民主党の金子恵美議員は「МA米の77万tは700万tの11%を占めている。これは大きすぎる。低くできないか」と質問した。
МA米の運用には財政負担も大きい。農水省の資料によればМA米を飼料用に販売すれば1トン当たり7万円の差損が生じ、50万tで350億円の財政負担が生じる。援助への活用でも輸送費を負担するため50万tの援助で600億円の財政負担が生じる。2022年度の損益全体は▲674億円となっている。
こうした実態もふまえ江藤農相は、多額の財政負担と基準となる消費量が変わったなか「この水準(77玄米t)を維持することについて国民の理解を得ることが極めて困難になっていると率直に多くの国に伝えてある」と話し、今年1月から事務方が複数のWTO加盟国と意見交換していることを明らかにした。
これに対し各国からは「理解はするが水準は守ってほしい、という厳しいリアクション」だったとしながらも「これからもあらゆる機会をつかまえて努力は続けていきたい」と答弁した。
12日の記者会見でも「ハードルは高いが挑戦したほうがいい。これからも課題にしていきたい」と述べた。
日本提案で見直し主張
WTO農業交渉は1986年から93年のガット・ウルグアイ・ラウンド交渉を経て1995年に農業協定を含むWTO協定が発効した。その後、2000年から次期交渉が開始された。
日本は次期交渉にあたって「多様な農業の共存」」を「基本的哲学」とする交渉に向けた「日本提案」を世界に向けて発信した。農業の多面的機能への配慮や、各国の食料安全保障の確保、さらに農産物貿易ルールの不均衡の是正などを提案し、これは「わが国国民の総意に基づく」と明記した。
その日本提案のなかで、「国内消費量を基準として一定割合のアクセス機会を保証することとした経緯にかんがみ、公平を期する観点から最新の消費量を勘案した見直しを行う」と提起している。
日本提案から25年。農政の大転換に向け「国民の総意に基づく」この提案を改めて振り返るべきではないか。
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