主食用米 増産傾向に需給緩和懸念 卸・実需はひっ迫懸念「しっかり作って」 意見交換会2025年2月26日
農水省は、生産者、集荷団体、卸売業者と実需者などが委員となっている米産業活性化のための意見交換会(令和7年第1回)を2月26日に開き、2024年産米の販売状況や25年産米の作付け、需給見通しなどについて意見交換が行われた。
米産業活性化のための意見交換
JA全中の杉山隆之農政部長は目先の価格にとらわれることなく「中長期的、戦略的な視点で需要に応じて加工用などに取り組むことが営農の安定につながる」とJAグループが組織決定した基本方針を説明した。
各県の再生協議会が示した25年産主食用米の目安は主産県を中心に、昨年よりも4万ha増えるとの見込みとなっているが、主食用が増えると需給緩和が懸念される」として、今後、国がまとめる各地の作付け意向面積情報などをもとに「機動的、柔軟に対応していく」と話した。
多くの生産者委員からは25年産も24年産と同程度の作付けとしたいとの意向が示されたが、「周りは主食用へのシフトが増えている」(北海道の藤城正興氏・輝楽里常務)、「9割飼料用米を作付けしていた知人は、今年は100%主食を作付けするなど、地域では増産傾向だ」(滋賀県の福原悠平氏・フクハラファーム代表取締役)と周囲では主食用米の増産意向が強いと話した。
宮城県のライスサービスたかはしの髙橋文彦代表取締役は、集荷業者が農家に出向き増産を求めており、25年産米の集荷競争も激化するとみる。一方、6年産の自社からの販売先に対しては年明けですでに出荷をストップせざるを得ないところもあり、夏の需給が心配されるという。
こうした状況のなか、ホクレンの駒形剛米穀部長は北海道が昨年より4%増の生産目安となっているが、主食用以外の水田活用米穀の需要増などにも応じて「主食用は例年以上に目安にそった取り組みを推進する必要がある」とコメントした。
また、JA全農米穀部の藤田修一次長もニーズに応じた生産と販売を進める方針を強調し、販売では長期安定的に販売する実需者との結びつきを優先していく方針のもと卸売業者と協議しているとした。
卸売業者からは備蓄米の放出に期待する声もあるが、「25年産米の集荷の見通しは立たない。前倒しで集荷が始まり競争が激化するのではないか」との見方が示され、集荷団体への取り組みに期待が寄せられたほか、「米をしっかり作ってもらい潤沢に供給できなければ米産業も活性化できない」(今野稔木徳神糧米穀事業本部副本部長)として米をしっかり増産することを求める意見も強い。
コンビニなどに供給している吉田宏わらべや日用食品購買部長は、増産し米不足が解消されなければ「やりたくはないが、外国産米の切り替えも考えなければならない」として、生産者の再生産価格の基準を決めるなどの仕組みも必要だと指摘した。
再生産価格について新潟県のファームフレッシュヤマザキの山嵜哲志取締役は「昨年までの価格は再生産可能ではない」として施設園芸などとの複合経営でなく土地利用型農業の専念できる価格が実現されるべきと述べたほか、福原悠平氏は「60kg4万、5万は生産者から見ても異常。消費者に強い不信感を持たれてわれわれにとってもマイナス」と話し、ネット販売で自分で価格を決めて販売できたことから「安定した価格で安定して販売できることがいちばん大事だ」と述べた。
藤城正興氏は再生産価格は規模や経営形態によって異なるものの「農家は儲かってはいけないというような議論になってはならない。お互いがビジョンを描けるような再生価格の議論は必要だ」と強調した。
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