23年の農作業事故死亡者数が高水準に 熱中症、未熟練作業者に専用研修など強化 農水省2025年2月27日
農水省が2月26日に公表した2023年の農作業事故による死亡者数は前年(238人)と同水準の236人となった。就業者10万人あたりの死亡事故者数は11.6人と増加傾向で、他産業と比べても高い状態が続いている。そのため、25年度の安全対策として強化期間を設定し、特に事故のリスクが高い未熟練農業者を対象とした専用研修の実施や、近年増加している熱中症対策の研修を拡充する。同日開いた「農作業安全対策全国推進会議」で具体策を示した。
死亡者数の推移
農作業事故の区分別は農業機械作業によるものが147人(農作業死亡事故全体の62.3%)、農業用施設作業によるものが6人(同2.5%)、機械・施設以外の作業によるものが83人(同35.2%)。年齢階層別では、65歳以上の高齢者による事故が202人と同死亡事故全体の85.6%を占めた。
高齢者比率
原因別は、農業機械作業による事故の「機械の転落・転倒」が60人(農業機械作業による事故の40.8%)と最も多く、機械・施設以外の作業による事故では「熱中症」が37人(機械・施設以外の作業による事故の44.6%)と最も多い。要因としては、就業者1人あたりの平均耕作面積が10年前の約1.7倍に上昇し、就業者あたりの作業面積が急増していること。猛暑の影響で生産現場での熱中症リスクが高まっていることも指摘されている。
要因別の死亡事故発生状況
農水省は就業者10万人あたりの死亡事故者が増加傾向にあることから、24~26年の3年間で22年の238人から119人へと死亡者数を半減させる目標を設定し、安全対策を強化している。農業機械作業研修は農閑期にあたる12~2月(実施時期は地域の実情に応じて変更可能)、熱中症対策研修の強化期間は気温が上昇する前の5~7月のそれぞれ3カ月間に設定した。
農作業研修では、農水省が作成した基礎知識のコンテンツを使用して30分程度の講習を行い、各都道府県の優良事例も横展開する。熱中症対策では、既存の集会などで専用研修または対策アイテム研修のいずれかを取り入れる。未熟練農業者を対象にした専用研修は、雇い入れ時教育用の労働者向けリーフレット(農作業安全を学びましょう)を活用して30分程度で実施する。
農作業安全に関する指導者の育成と活用も強める。とりまとめ機関の「指導者リスト」の更新や研修実施期間への共有、研修開催予定の更新などを徹底。地域の事故情報などを指導者への共有も推進する。
26日の「農作業安全対策全国推進会議」
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