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トマトのコナジラミ類 多発のおそれ 令和6年度病害虫発生予報第10号 農水省2025年3月13日

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農林水産省は3月12日、令和6年度病害虫発生予報第10号を発表した。

予報によると、野菜・花きでは、トマトのコナジラミ類の発生が、北関東、東海、四国及び南九州の一部の地域で多くなると予想。このほか、いちごのハダニ類など地域によっては発生が多くなると予想されている病害虫があるため、農水省は注意を呼びかけている。

各作物の詳細は以下の通り。
◎水稲
・昨年、いもち病、もみ枯細菌病、ばか苗病等の種子伝染性病害の発生が多かった地域では、種子消毒を的確に実施し、健全な苗の育成に努めること。薬剤感受性の低下がみられる場合があるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、効果の高い薬剤を選定し種子消毒を実施する。

また、塩水選や温湯消毒といった物理的防除を実施する場合には、消毒効果を確実に得られるよう、病害虫防除所等が示す手順・方法に沿って適切に実施する。

・トビイロウンカは、その年の気象条件や飛来量によっては大きな被害を引き起こす。同虫による被害の発生が懸念される地域では、効果の高い育苗箱施用剤による防除の実施についても検討する。

・縞葉枯病は、ヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病で、経卵伝染するため、同虫を対象とした防除を実施することが重要。近年、同虫の発生が増加傾向にある地域では、越冬量を抑制するため、冬期間中にイネ科雑草の除去及び再生株(ひこばえ)のすき込みを行うことが効果的。未実施の地域では速やかに実施すること。

また、近年、同ウイルスを保毒している同虫の割合が高まっている地域では、育苗箱施用剤による防除の実施についても検討する。

・イネカメムシは、斑点米だけでなく、不稔被害も引き起こす斑点米カメムシ類の一種。近年、発生の増加や減収被害が報告されている。同虫は、他の主要な斑点米カメムシ類と異なり、水稲への嗜好性が高く、畦畔や水田周辺のイネ科雑草で確認されることは少ないため、本田での発生状況をよく観察し、防除が必要な場合は適期に実施することが重要。特に、不稔被害を防止するには、穂揃い期以降ではなく、出穂期に実施することが重要。同虫の発生が増加傾向にある地域では、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、本田での発生状況を注視し、収量の確保に向け、効果の高い薬剤による出穂期の防除を実施する。

・スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)は、今冬の気温が高かった地域では、多くの個体が越冬しているおそれがあるため、一層の被害の発生を警戒する必要がある。今春の被害を抑えるため、移植前に取水口・排水口にネットや金網を設置し、スクミリンゴガイの侵入を防止すること。

水田内の発生が多い場合には石灰窒素の散布が有効だが、石灰窒素は水稲の生育にも影響があるため、使用時期や使用方法、施肥量等を確認のうえ実施を。また、移植時は薬剤散布し、移植後は水深を4cm(理想は1cm)以下に維持する浅水管理を実施する。

スクミリンゴガイは、農機具・機械に付着した泥とともに他のほ場へ拡散するおそれがあることから、発生ほ場で使用した後は泥をよく落としてから移動させるよう心がける。なお、一旦定着したスクミリンゴガイを根絶することは困難で、周辺の水田にも悪影響が及ぶことから、除草目的であっても、未発生地域や被害防止に取り組む地域でのスクミリンゴガイの放飼は行わない。

◎野菜・花き
野菜・花きで各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫と地域

表1:野菜・花きで各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫と地域

表1:野菜・花きで各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫と地域

◎トマト
・コナジラミ類の発生が、北関東、東海、四国及び南九州の一部の地域で多くなると予想。同虫は作物を加害するほか、多くの病原ウイルスを媒介することが知られている。発生密度が高くなってからでは防除が困難となるため、発生初期をとらえた防除が重要。ほ場の観察をきめ細かく行い、適期の防除を実施を。

なお、同虫は薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。

◎果樹・茶
<果樹・茶共通>
・果樹や茶では、翌年の病害虫防除を効率的かつ効果的に実施するため、病害虫の越冬量を低下させ、翌春の発生を抑制することが重要。せん定作業に合わせて、感染落葉やり病部を除去し、速やかに園内土中に埋設するか、園外に持ち出すなど、適切に処理すること。

また、ハダニ類及びカイガラムシ類の害虫の発生が多かった園地では、樹の粗皮削りやマシン油の散布による防除を実施する。茶のカンザワハダニの発生が多かった園地では、秋整枝後の休眠前(秋冬期)又は休眠明け(早春期)に薬剤散布等の防除を実施する。

<果樹共通>
・昨年、広い地域で果樹カメムシ類の発生量が多くなった。同虫の飛来状況は地域や園地により異なるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、園内の観察をきめ細かく行い、飛来が認められた場合は、飛来初期から防除を実施すること。果樹カメムシ類は薄暮期から夜間を中心に活動するため、夕方の薬剤散布が効果的。また、山林に近い園地で被害が多い傾向があるため注意する。

<もも>
・せん孔細菌病は、春期に枝に形成される春型枝病斑(スプリングキャンカー)が伝染源となり、降雨や風により発生が助長される。前年の発生が多かった地域では、当該病斑が形成されやすい環境となっているため発生が多くなるおそれがある。園内を注意深く観察し、発病枝が確認されたら確実に除去すること。

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