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地域外から後継経営者 新たな集落営農へ 北陸農政局がシンポ2025年3月13日

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北陸農政局は2月27日、金沢市でシンポジウム「集落営農法人等における第三者継承を考える」を開いた。構成員の高齢化が進む集落営農の継承が各地で課題となるなか、シンポジウムには県外から法人に就職し経営を引き継いでいる農業者もパネリストとして参加した。次の時代に向けた新しい集落営農の展開も始まっている。

集落営農組織は、2007年から施行された品目横断的経営安定対策の交付金の受け手として設立された組織が06年から09年にかけて急増した。しかし、設立から15年以上が経過し、構成員は70歳代から80歳代となっている。

シンポジウムでコーディネーターを務めた農林水産政策研究所の平林光幸総括上席研究員によると、集落営農法人の多くは構成員の出役で運営されており、高齢化で出役が確保できなければ専従者を確保する必要があると指摘した。ただ、専従職員をどう探し出すのか、集落内の合意形成、積雪期も含めた仕事による給与の確保をどうするのかなど課題は多い。

こうした課題にどう取り組んでいるのか、ここでは登壇した集落営農法人の代表者らの取り組みを紹介する。

組合員の子息が代表に

石川県白山市の農事組合法人手取営農組合は2012年に任意組織から法人化した。組合員は19人で主食用米を30ha、大麦・大豆を17ha作付けている。

梨木修一代表(70)は10年前に代表に就任して以来、組合員に「毎年、みんな年をとっていく」と強調し、経営継承を考える必要性を訴えてきたという。具体的には従事分量配当から確定給与制に変更したほか、一般企業並みの水準にするため、会計事務所の指導に基づく地代・管理費の減額など実施してきた。これらの改革は「組合員にすんなり受け入れられた」という。

こうしたなか、組合員の息子で自動車整備士の資格を持つ46歳の東桂介営農部長が継承候補者となっている。東氏は資格を活かして農機の整備などアルバイトで手伝いをしたいたが、昨年、本人からの申し出で正社員となり営農全般を担当。継承に向けて経験を積んでいる。さらに新年度から2名が新たに就農予定で「新たな社員3人と新しい農業をめざす。スマート農業の導入も」と意欲を語るが、「年寄りは口を出しすぎない」を方針にしている。経営継承は「早め早めに対策を考えることが必要」と強調した。

地域おこし協力隊を活用

福井県小浜市の永耕農産は地権者220人。2017年に農事組合法人から株式会社に組織変更。地権者は株主になった。地域組織としては2階建てとし、1階部分は一般社団法人で地権者たちが参加して施設の管理や、草刈りなどを担い、2階部分の永耕農産は営農に専念する。

96.5haの農地で米、麦、大豆のほか、キャベツや白ネギなども栽培している。米の付加価値を高め観光旅館やレストラン、道の駅などで販売し、リピーターも増やしている。

第三者継承に向け地域おこし協力隊の2人と県外からの1人をあわせた3人が3年間の研修の後に社員となった。子育て世代に配慮し残業なし、週休2日制などを導入し就労意欲を高めてきた。

辻川清和代表(65)は「地域活動のリーダーとしても活躍し地域愛を持った若者。営農面でもあまり指示せず新しいことにチャレンジしてほしいと思っている」と語り、面積拡大だけでなく6次化など経営力の向上も期待する。研修など後継者育成にかかる費用は惜しまない方針で、これを経営改革の一環と位置づけている。

県外から意欲ある若者

福井県あわら市のグリーンファーム角屋は設立から20年を経た2019年に株式会社に組織変更した。

構成員は15人(株主)。16haで米、大麦、大豆、業務用タマネギ、ダイコンなどを生産している。
坪田清隆会長は、高齢化が進行するなか、他の法人への経営譲渡も視野に入れ、後継者確保のため全国にアンテナを張っていたという。同時に若い社員を雇うため、地代の引き下げに集落で合意し、家族構成をふまえた賃金制度などを整備した。

現代表の斎藤貴氏は埼玉県出身。高校卒業後、石川県内の農業法人に就農し米づくりを中心に20年務めた。その後、独立就農を考えていたところ、普及員などの紹介でグリーンファーム角屋を知り、インターンシップで1年研修した後、2019年に入社した。坪田会長らは組合員(株主)や地域の若者の意向なども確認したうえで、23年に斎藤氏を代表にする。

斎藤氏は石川県で就農した際、「最初は地域で認めてもらえず排他的だなと感じたが、かんばれば認めてもらえ、それが農村だと思った。この経験があったから福井に移ることに不安はなかった」と話す。16ha程度の経営で収益を上げるのに苦労するが、坪田会長とともに業務用野菜に着目し栽培を開始し、収益性の高いれんこん栽培も始めた。「どうやって稼いで経営していくか。がんばった結果が数字で示されおもしろい」と話した。役員4人と正社員2人。「熟れ寿し」や「青大豆味噌」なども開発し販売拡大を図っている。

社員から代表 新機軸も

富山県砺波市の農事組合法人ガイアとなみは1995年に設立された。中島一利代表(48)は兼業農家の生まれ。卒業後は会社勤めをしたが、農業を志し2000年に同法人に入社した。オペレーターから始まり、営農計画づくり、農薬メーカーとの交渉、米の取引などの経験を積み2012年に役員に就任。2017年に前代表の急病で代表に就任した。

経営面積は160ha。米・麦・大豆に加え、2本目の柱としていちごを導入、20aのハウスで栽培しているが、直売所の充実と営業活動の強化をめざしている。また、3本目の柱として露地野菜の栽培も検討している。

社員は12人、うち理事は2人。社員は40代から10代まで。いちご栽培は富山県では珍しい。「社員に自信を持ってもらうための取り組みでもある。農業の魅力を伝え、法人に人を引きつけたい」と話した。高齢化にともない農地管理の委託が増えると予想、人材確保も重視している。

農業法人からの転職

石川県白山市の農事組合法人一木は2007年に法人化した。大西博之代表(53)は2020年に就任。

大西氏は大阪府の出身で大卒後は大手スーパーに就職。農業活性化に興味を持ち、妻の出身地である白山市に移住し、就農フェアを通じて農業法人に就農。同法人では経営継承が実現し、経営は安定したが、取引先だった(農)一木は、後継者がおらず、将来は農地分散のおそれもあった。

そこで大西氏は経営を引き継いで自分の農業を展開したいと前代表に提案した。組合員8人の組織では快諾され、勤めていた農業法人から転職し、1年後に代表に就任した。

経営面積は150haで米、大豆、大麦のほか、クワイ、れんこんも栽培している。

サラリーマン経験がある大西氏は、集落営農について「一人親方の集まり」であり組織的な経営ができていないとして改革を行った。

組合員の定年を75歳として退職金を支払った。従事分量配当を廃止し、基幹的農作業は社員を雇用し給与を支払うことにしたなどだ。正社員は3人。原価意識を持つために「時給2000円以下の仕事はするな」と指導しているという。2年3作の取り組みを強化し増収を実現、大型機械化で省力化も図っている。

大西代表は「今は社員からさまざまな提案も出てくる。お互いにアイデアを出し合える組織になっていけば、次のリーダーも出てくるのではないか」と話す。

地域の外に目を向ける

参加者には奥能登で集落営農組織に参加している農家も。構成員が減り、実質一人で40haの水田を管理しているという。どう利益を上げていけばいいかとの質問に手取営農組合の梨木代表は「米がベースにあるのはいいこと。問題はすき間に何を作るか。ダイコン、レンコン、タマネギなどですき間を埋める。農地を守る集落営農から、儲かる農業にシフトしていかなければ組織の継続はあり得ない」と強調した。

コーディーネーターの平林氏は、いちごの栽培の導入は6次化など「新しい集落営農のかたちが求められている」として経営継承のためにも「地域の外に目を向けることが重要」などと指摘した。

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