米の生産、流通など、国が実態把握を 食農審企画部会2025年3月17日
食農審企画部会が3月14日に開かれ、新たな基本計画について意見交換した。精米価格の高騰が続いているなか、委員からは国による米の生産と流通について実態把握と検証を求める声が相次いだ。
企画部会
今回の基本計画では現在のカロリーベース食料自給率38%を5年後の2030年に引き上げる目標を掲げた。
JA全中の山野徹会長は「大変意欲的な目標設定だ。今後は目標達成に達成に向けて生産現場の取り組みを政策的にしっかり後押ししてほしい」と述べた。ただ、これまでは示されていた飼料用米や米粉用米の生産目標数量が示されていない。山野会長は「生産現場への政策的なメッセージとして何らかの目標設定がされるべき」と主張した。
また、政府備蓄米の放出によって「備蓄米制度の重要性について社会的な認識が高まった」として生産現場が継続的に取り組める仕組みの検討が必要だ指摘した。
米については流通が多様化、複線化しており「以前より生産、流通、在庫の実態が見えづらくなっている」として、国によるより詳細で精緻な情報把握と提供が必要で今後の検討を求めた。
日本農業法人協会の齋藤一志会長は作況指数と現場の単収に「かい離があるような気がしてならない」と、作況指数ほど収穫できていない実態を話すとともに、米の流通、在庫の検証と、毎年10万t程度減少が続くという需要見通しについて「本当か」と疑問を投げ見直しの必要性を指摘した。
日本生協連の二村睦子常務は、米の生産量や需要量についての数字を検証する必要があるとして「「基本的な数字に信頼が得られなければ、農業や農政への信頼が得られない」と強調するとともに、需給がひっ迫したときに備蓄米を活用できるよう制度を検討し、備蓄水準についても「気候変動や国際社会の不安定化などふまえて見直していく」べきと話した。
また、水田農業の見直しは飼料用米や米粉用米など「生産目的を複線化させながら水田資源を最大限活かせる施策を期待したい」と述べた。一方、輸出重視の方向には「海外が優先されて国内供給が不足しないか」と懸念を示した。
中嶋康博部会長は今回の基本計画では今後5年間の集中的な改革の方向を示しているとして「ポイントは、消費者の理解があって政策が駆動していくこと」と指摘し、米や野菜の高騰などが連日ニュースになるなか「国民が自分事として認識している状況」だとして消費者への情報発信の重要性を強調した。
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