米粉 需要拡大と製造コスト下げが課題 食糧部会2025年3月27日
3月26日に開かれた農水省の食農審食糧部会では同省の「麦の需給に関する見通し」と「米穀の新用途への利用の促進に関する基本方針」が了承された。
小麦の総需要量はコロナ禍で外食需要が減少したことから、570万tから550万程度で推移している。2025年度の需要見通しでは、直近3か年の平均で552万tとした。前年の総需要量より4万t少ない。
一方、国内生産量は民間流通連絡協議会で報告された作付予定面積21万9000haをもとに97万tと見込む。そのうち年度内供給量は38万tで繰越在庫の56万tと合わせた94万tが流通量見通しとなる。
これに製粉事業者からの聞き取りによる米粉の需要量を6万tと見込む。
国内産の小麦流通量94万tと米粉流通量の6万tを総需要量552万tから差し引いた452万tが外国産小麦の輸入量となる。
米粉や飼料用米など「米穀の新用途への利用の促進に関する基本方針」は基本計画の策定に合わせて5年ごとに改訂される。
基本方針では消費者の米粉への認知が増えているが、米粉パンを含め米粉の特長を活かした新商品の開発、米粉の製造能力の強化などめざす。
とくに米粉の製粉コストは1kg当たり90円から290円程度で小麦粉の70円にくらべて高いことが課題になっている。
また、生産量を増やすため生産者と実需者の「広域でのマッチング」をめざすほか、パン用品種「ミズホチカラ」、麺用品種「越のかおり」といった専用品種の導入とこれらを活用した製品開発をめざす。
飼料用米については米粉用米とともに多収品種の導入で生産性の向上を図る。
食糧部会では山田貴夫日清製粉社長が麦の需要について、現在は米価の高騰で前年を上回る需要で推移しているものの、今後は人口減少の影響とライフスタイルの変容など需要動向を注視していく必要があると指摘した。また、米粉について主食用作付が増えて確保が困難になることが懸念されているが、「麦の代替ではない米粉の市場が重要」として、製品開発と産地と需要者とのマッチングが重要になるとした。
JA全中の馬場利彦専務は小麦について「輸入依存ではなく国産を増やしていくことが大事」として次期基本計画で2030年に137万tの目標を掲げることから「達成に向けて生産拡大と流通の円滑化、需要拡大のための施策が求められている」と話し、米粉については「食料安全保障にとっても需要。いっそうの支援を」と強調した。
これらに対し農水省担当者は「米粉用米は水田を維持していくためにも重要。需要を作り、生産性の向上を図るための農地の大区画化、スマート農業の導入など進めていく」としたほか、25年産では生産者と実需者の広域でのマッチングに取り組みたいとした。
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