将来受け手のない農地 約3割 地域計画で判明2025年4月23日
農水省が3月末にまとめた地域計画の策定状況によると将来の受け手が位置づけられていない農地は約3割となっている。
地域計画(地域農業経営基盤強化促進計画)は、10年後の農地利用の「目標地図」を関係者の話し合いで策定するもので改正農業経営基盤強化促進法によって今年3月末までに策定することになっていた。
計画の策定市町村数は全国で1613市町村、1万8633地区となっている。策定予定市町村数は1633となっていたことから、20市町村が策定できていないことになる。ただ、昨年11月末時点では策定市町村数が125だったことを踏まえると3月末にかけて急速に策定が進められたといえる。
地域計画区域内の農用地等面積(畜舎・共同利用施設など農業用施設面積を含む)は424万haで、このうち農用地区域内の農地面積は380万ha、目標地図に位置づけられた農業者が10年後に引き受けている経営面積は284万haとなっている。
目標地図に位置づけられた農業者は、担い手(認定農業者、認定新規就農者など)が約3割を占めている。地域別にみると北海道(認定農業者63.1%)、東北(同30.9%)が多い。
一方、その他の農業者は全国で7割を超えている。中四国、九州では7割から8割を占めており、「多様な農業者」が目標地図に欠かせない状況だが、農水省によると策定された地域計画のなかには、現況とほぼ近い地図を目標としている計画も多く、団地化や将来の受け手の明確化などさらなるブラッシュアップが必要だとしている。
また、将来の受け手が位置づけられていない農地は、計画区域内の農用地等面積(424万ha)の約3割(32.8%)となっている。とくに中国・四国地方60.1%(22万ha)、関東地方49.4%(34万ha)、東海地方41.8%(6万ha)が多くなっている。こうした地域では新規就農の促進などが求められる。
将来の受け手がいない農地が3割となっていることについて江藤農相は「だめだという話では決してない。白地になったところを引き受けてくれる担い手に対して応援するメニューを作ろうと動いている」と話し、農地の受け手への支援策を検討しているとした。
3月末までに策定できなかった地域への聞き取り調査では、▽土地持ち非農家の関心が薄く話し合いの場が持てなかった、▽取り組みが遅れたため間に合わなかった、▽都市部のため農外利用への関心が高く協議がまとまらなかった、などがあがっている。また、期限に間に合わせるよりも、「よりしっかりとした地域計画を策定することを優先した」地域もあった。
農水省は策定された約1万9000地区すべてについて、利用される見込みのない農地や農地の集約化の程度などについて分析、検証して必要な施策を検討していくことにしており、2月末までに先行して策定された約2000地区について分析、検証し5月中旬ごろに報告をまとめる。
農水省は今後は「人」だけではなく「品目」も加えた産地形成の視点が地域計画づくりに必要なことや、これまでの事例から、協議には女性や若者、地域内の非農業者も加わることで話し合いが進んだ地域があるとして計画策定とブラッシュアップを期待する。
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