人事2024 左バナー 
JA全農人事情報
左カラム_病害虫情報2021
新聞購読申込 230901
左カラム_コラム_正義派の農政論_pc
左カラム_コラム_米マーケット情報_pc
左カラム_コラム_地方の眼力_pc
左カラム_コラム_食料・農業問題 本質と裏側
左カラム_コラム_昔の農村・今の世の中_pc
左カラム_コラム_花づくり_pc
左カラム_コラム_グローバルとローカル_pc
左カラム_コラム_TPPから見える風景_pc
左カラム_コラム_ムラの角から_pc
ヘッダー:FMC221007SP
FMCプレバソンPC
FMCセンターSP:ベネビア®OD

農政:時論的随想 ―21世紀の農政にもの申す

(88)自給率向上策、どう議論すべきか2014年9月5日

一覧へ

【梶井 功 / 東京農工大学名誉教授】

・企画部会は?
・「持てる資源」を全て投入した計画なのか
・地域分析は必須要件

 8月5日、農水省は2013年度自給率はカロリー表示で39%と発表した。

 2020年までに50%にすることを目指して、2010年から展開してきている(はずの)農政のもとでの4年連続の39%である。このことをどう考えるのか、農政は50%を目指して諸施策を講じてきている、その成果はこれから出るというのか。或は施策自体適切ではなかったから上昇傾向が出ないのは当然、下らなかったことを以てよかったと考えるべき、とするのか。
 そういった点こそ、新たな「基本計画」作成のための審議をおこなっている農政審企画部会で明らかにしてもらいたい点だが、企画部会ではそういう議論はあまりしていないらしい。“部会では目標水準の見直しを求める意見が出ている”そうだし、中嶋部会長も50%にこだわらず“どういう水準を目標にするかは多角的に検討する必要がある”と語っている(8・19付「日本農業新聞」)。現「基本計画」の目標は“持てる資源を全て投入したとき可能”になる目標だと「基本計画」そのものに書かれているように、もともと無理な目標なのだから、気にすることはない、としているようだ。それでいいのだろうか。

 

◆「持てる資源」を全て投入した計画なのか

 企画部会の委員の皆さんは、本当に今の「基本計画」は“持てる資源を全て投入”することを前提にした計画だと考えているようだが、そうではないことを、私は編著「『農』を論ず」(農林統計協会刊)の第?章で論じた。御一読いただければ、と思うが、簡単なことをひとつ挙げておこう。
 50%ではなく45%を目標にしていた現行「基本計画」の前の「基本計画」では、飼料作物のところで“低・未利用地等を活用した放牧の拡大、草地の効率的な利用”とか“耕作放棄地、野草地、林地等の低・未利用地……を利用した放牧”に言及していた。が、現「基本計画」は林野利用についてはまったく触れていない。農用地という思想がないのである。それで“持てる資源を全て投入”したといえるのか、企画部会でぜひ議論してもらいたい。

 

◆地域分析は必須要件

 現「基本計画」は、基準年とした09年の461万haの耕地を維持し続け、耕地利用率を108%に高めることで20年50%のカロリー自給率実現を目指すとしている。が、耕地面積は減少し続け、13年には453万haになっている。09年以降の毎年の減少面積をあげておくと09年?10年1万6000ha、10?11年3万2000ha、11?12年1万2000ha、12?13年1万2000haである。東日本大震災のあった年は別にして、ほぼコンスタントな減少傾向が続いているとしていいだろう。
 「計画」は年々1万4000haになると見込まれる転用を年9000haに抑制し、年々2万9000haになると予想される耕作放棄地を年3000haに押さえこむことで毎年の耕地減面積を減らし、更に年1万2000haの耕作放棄地の再生を果たすことで461万haの耕地維持を目指した。
 09?11年の転用面積は年平均1万2400ha(「農地の権利移動・貸賃調査」による)となっており、09?13年の“荒廃”農地面積は年平均8380ha(「耕地及び作付け面積調査」による)である。“荒廃”農地が耕作放棄地と同じだとすれば、転用面積は目標値の1.38倍、耕作放棄地面積は目標値の2.79倍となる。それぞれ、なんらかの施策があり、その結果がこれだとすれば、転用抑制のほうが施策効果が上がっていると評価できそうだが、そう評価していいのだろうか。また、「耕作及び作付面積調査」によれば、“開墾”による耕作面積増は09?13年度で年平均1952haにとどまる。この調査にはそれ以外に耕作放棄地再生に相当する項目はないので、この数字を耕作放棄地の再生面積と理解するとすれば、目標値の16%にすぎない。これも何らかの施策があったにもかかわらず、ということなら耕作放棄地施策が最も効果を上げていない、ということになる。
 これらは、不十分な資料による推測でしかない。転用抑制施策、耕作放棄地抑制及び再生施策について資料に基づいて吟味し、施策効果を評価することを企画部会にお願いしたい。そうした吟味、評価のうえで目標とする自給率のあり方を論議すべきだろう。
 その吟味に当たっては、地域分析を必須にすることを企画部会にお願いしたい。今までの企画部会の議論を新聞等で見るかぎり、地域分析に基づいた論議はあまり行われていないようだが、自給率引き上げ政策を論議するにあたっては地域分析が不可欠だということを私は主張しておきたい。
 この点は、50%自給率引き上げの工程表を農水省が初めて発表したときに、08年12月20日号の本欄で主張したことだった。50%引き上げに耕地利用率引き上げが不可欠とするなら、もともと耕地利用率の高かった西日本の耕地利用率引き上げをこそ課題にすべきであり、そのためには老齢化の進行をくいとめるための施策こそ重要、と論じたのだが、その論旨は、今も変える必要はない、と私は信じている。

重要な記事

ヤンマーSP

最新の記事

クミアイ化学右カラムSP

みどり戦略

Z-GIS 右正方形2 SP 230630

注目のテーマ

注目のテーマ

JA共済連:SP

JA人事

JAバンク:SP

注目のタグ

topへ戻る