農政:日本農業とともに
農業は世界でもっとも大切な仕事 (下) BASF農薬事業本部プレジデント マルクス ヘルド2016年8月9日
生産効率の向上で農産物生産に貢献
持続可能性のある農業が大事
マルクスヘルドMarkusHeldt
BASF農薬事業本部プレジデント
◆抵抗性などの課題に応える研究開発
――農薬に対する抵抗性害虫や雑草とか耐性菌とかが、生産現場では大きな問題になってきていますが、これについてはどういう対応を考えていますか?
抵抗性の問題は、農薬を研究開発している企業としては常に関心をもって当然の問題です。母なる大地は、必ずそういう動きをするものですから...。
こういう問題に対してどういう戦略をとっているかといいますと、抵抗性の問題がどのように出てきているかをできる限り早期に特定し、それに基づいて研究開発活動を行っています。
そのことと同じように重要なのが、私どもの製品を適切に使用していただくことと、過剰に使用されないようにしていくことです。
そして、新規性があり新しい作用機作を持っている製品を開発し、それを既存の製品とうまく組み合せ、ローテンション使用していただくことで、抵抗性問題にきちんと対応できるようにしていくことだと思います。
――同じ製品を使い続けるのではなく、いくつかの製品をローテーション使用することですね。
それが大事ですね。
――温暖化や異常気象も農業にとっては大きな問題ですね。
これは農業にとって、リスクであると同時にチャンスでもあるという両面があると思います。
リスクは、異常気象現象が増え、干ばつやゲリラ豪雨が起こるからです。一方チャンスというのは、長期的に見た場合、生産性の向上や強化につながりうるからです。
◆農業をしていることに誇りを
――農業の大切さがもっともっと社会的に認知されるべきだと私たちは考えていますが...。
世界中の多くの場所で生産者の皆さんが難しい局面におかれています。それは、農業生産者の方々が何をしてきたのかを社会がきちんと理解していないからです。今後は、今まで以上にバリューチェーン全体のいろいろなパートナーと対話をしていかなければならないと思っています。その中で、今日が農業にとっていままでで一番優れた状況にあり、もっとも低いコストでもっとも質の高い農産物が生産されていることをしっかり発信したいと考えています。
そのうえで、将来に向けての重要な柱になるのが、農業の透明性をさらに高めることと、持続可能性のある農業です。
持続可能性ある農業は、地球の将来に絶対必要なことだとBASFは考えていますが、それは3つの柱で構成されているといえます。
それは、経済性、エコロジーそして社会性です。その相互のバランスをとることが必要で、それを測定するツール「AgBalance(TM)(アグバランス)」を開発し、すでに国際的第三者機関からも認証されています。
――最後に日本の農業生産者へのメッセージをお願いします。
農産物の価格ばかりが注目され、農業生産の場でどのような努力があるのかを多くの消費者は理解していません。
農業生産者の方々は当然、農業をしていることに誇りを持つべきですし、生産者の方々が一所懸命働いていることが、社会的に十分に認知されるべきだと思います。私たちもそれをサポートしていきます。
――ありがとうございました。
・農業は世界でもっとも大切な仕事 (上) (下)
重要な記事
最新の記事
-
飼料用米多収日本一 山口県のあぐりてらす阿知須 10a当たり863kg2025年3月3日
-
【特殊報】ナシ胴枯細菌病 県内で初めて発生を確認 島根県2025年3月3日
-
政府備蓄米売り渡し 入札 3月10日に実施 農水省2025年3月3日
-
新潟県の25年産米概算金「コシ2.3万円」 早期提示に歓迎の声 集荷競争、今年も激化か2025年3月3日
-
米の集荷数量 前年比23万t減に拡大 農水省2025年3月3日
-
米価高騰問題への視座【森島 賢・正義派の農政論】2025年3月3日
-
【次期家畜改良目標】低コスト、スマート農業重視 酪農は長命連産、肉牛は短期肥育2025年3月3日
-
【改正畜安法の現状と課題】需給対策拡大が焦点 問われる「国主導」2025年3月3日
-
あなたたちは強い〝武器〟を持っている JA全国青年大会での「青年の主張」「青年組織活動実績発表」講評 審査委員長・小松泰信さん2025年3月3日
-
JA農業経営コンサルタント 15人を認証 全中2025年3月3日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付)2025年3月3日
-
農業用バイオスティミュラント「エンビタ」とは 水稲育苗期にも効果 北興化学工業2025年3月3日
-
アミューズメント施設運営「ティスコ」株式を譲受 農林中金キャピタル2025年3月3日
-
「2025ローズポークおいしさまるごとキャンペーン」でプレゼント 茨城県銘柄豚振興会2025年3月3日
-
福岡ソフトバンクホークスとのオフィシャルスポンサー契約更新 デンカ2025年3月3日
-
ファーマーズ&キッズフェスタ2025 好天で多数の参加者 井関農機は農業機械体験2025年3月3日
-
【今川直人・農協の核心】産地化で役割が高まる農協の野菜取り扱い2025年3月3日
-
野菜がたっぷり食べられるカレー味「ケンミンカレー焼ビーフン」新発売2025年3月3日
-
第164回勉強会『海外市場での植物工場・施設園芸の展開』開催 植物工場研究会2025年3月3日
-
春の山梨の食材の魅力を伝えるマルシェ 5日から国分寺マルイで開催 雨風太陽2025年3月3日