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農政:森田実と語る!どうするのかこの国のかたち

「地球と最も共存してきたのが農業」 戸別所得補償制度の確立を 立憲民主党・泉健太代表【森田実と語る】2022年10月28日

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政治評論家の森田実氏が、各界のキーマンと語るシリーズ「森田実と語る!どうするのか この国のかたち」。今回は、立憲民主党の泉健太代表にインタビューした。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻、物価高など国内外が激動の時代となる中、野党第一党の党首としてどう向き合おうとしているのか考えを聞いた。また、父親の仕事の関係で農林漁業に親近感を持ってきたという泉氏は「地球と最も共存してきたのが農業だ」と強調し、農業振興への思いも語った。(敬称略)

立憲民主党 泉代表1.png

立憲民主党 泉健太代表

大転換期に必要な3つのポイント

森田 コロナ禍にウクライナ侵攻、物価高と国内外の情勢がめまぐるしく変化しています。野党第一党の党首として、こうした情勢にどう向き合うべきとお考えか、基本姿勢をお聞かせください。

 約100年前に遡るとスペイン風邪で世界人口の4分の1が感染して最大5000万人が亡くなられました。また、第一次世界大戦もあり世界が大転換した時期でした。それから約100年経って改めて大きな転換期を迎えていると感じます。この中でわが国としては3つの大事なポイントがあると思います。
1つは、ロシアや中国、北朝鮮といった周辺国との関係。次にコロナ禍を通じて進化した非接触の文明、デジタルやロボット技術での日本の飛躍ですね。他国が作れない、非常に微細なものを作る力がある日本だからこそ、その技術力をもう一度磨き直して人材を育て、世界の中で確立した地位を勝ち得ていくことが必要です。

そして100年前と大きく違う点は地球温暖化、気候変動です。この環境分野に対応していかなければいけません。かつてはソーラーパネルも日本が世界のシェアをほとんど占めていました。岸田政権の原発回帰は残念ながら再生可能エネルギーの市場に冷水を浴びせるものです。原子力に対する依存というのは、安全保障上、そして原発そのものの安全リスクという意味でも危険であり、再生可能エネルギーに舵を切らなければいけない。当然ながらソーラー一本足ではなく、風力や地熱など、複合的に安定性を高めて安定供給ができる再生可能エネルギー国家というものを、ぜひ目指していかなければいけないと考えています。

森田 日本がそうした国を目指していくうえでは課題も多く、様々な改革が求められますね。

 そのためにまず人口減少を反転させなければいけません。先輩世代の皆さんも苦労して子どもを産み育ててきましたが、今の世代は今の世代なりの生きづらさや産みづらさ、育てづらさを実感して、なかなか結婚して子どもを産むという選択に至らない。こうした産みづらさ、育てづらさを徹底的に解消し、ディスインセンティブではなくインセンティブを与えていかなければいけません。育休を取っても給料が減らない社会、そして児童手当でむしろ生活費が楽になり、子どもを産んだ方が生活費がプラスになる、こういう思い切った改革をしていくことが必要だと考えています。

安定的な経営基盤と農家所得向上の政策を

森田 ウクライナ情勢などをめぐっては食料危機がクローズアップされ、改めて食料自給率が38%しかない日本の食料安保が課題として浮かび上がっています。この問題についてはどう対応すべきとお考えですか。

 今、日本人が自ら好んで世界から様々な食料品を輸入して多様な食文化、食生活を送っていることを考えると、食料自給率を単に上昇させるのは、なかなか難しいかもしれません。ただ、食料安全保障の観点からいうと、我が国の主食である米については特に米以外の米粉の活用など、我が国で作ったものを消費できる食文化を作ることがそもそも必要ではないかと思います。
その一方で、離農者が大変多い状況ですよね。飼料価格も高く、生産しても農産物の価格がなかなか上がらないことを考えると、各国が行っているような直接支払制度、日本では私たちが提案している戸別所得補償制度によって安定的な農家の経営基盤を作ることが必要だと考えます。やはり農家の所得を向上させる政策を優先させなければいけない。自給率のことだけ騒いで、一方でどんどん離農者が増えて新規就農者が減ってしまう状況を防ぐためにも、この戸別所得補償制度の確立をしていきたいと考えています。

競争社会の中で協同組合の良さ発揮を

森田 国内外の情勢が混とんとする中で、同じ目的を持つ者同士が助け合う協同組合が注目されてくると思います。農業を守る組織として農協がありますが、どんな役割を期待されますか。

 農協は歴史もありますし、農業者の相互扶助組織として、農業の支援のみならず、経営や生活の安定向上のために金融や病院経営、燃料の供給にも取り組み、地域社会におけるインフラになっていると思います。
同じ協同組合という意味では、10月1日に労働者協同組合法が施行されました。これは資本主義経済の競争社会の中にあって、自分たちのペースで、自分たちのできる範囲で生産をしていく、今のスピードばかりを重視をする社会の中でやりにくいという方々には非常に満足度の高い組織になっています。協同組合にはそういった良さがあると思いますので、経済一辺倒ではないあり方として、助け合いの良さというものをぜひこれからも発揮していただきたいと思っています。

円安で国家の価値下げ続けるアベノミクス

森田 経済という面では、今、急激に円安が進んで、物価高対策などで政府も経済対策に迫られています。こうした状況をどうご覧になっていますか。

 日本経済を強くするためのアベノミクスが、どんどん円を安くして国家の価値を下げ続けているアベノミクスになりつつあるということですよね。岸田総理は、この前の代表質問に対する答弁で、円安メリットを最大限生かすと言い始め、もう円安基調を変えられない、それを見込んだ経済シフトに変えていくと言っています。
例えばエネルギーについても、わが国の国富の流出がより増えていく状況で、財政的にも相当な負担を強いられます。新しい施策をするために弥縫策のようにその都度絆創膏を貼るように歳出を膨らませて、国債を発行する、この悪循環を変えなければいけないし、まして防衛費まで国債でというのは本当に財政の王道からの道を外す行為だと思います。世界からの信任を失えば日本は一気に転落する可能性もあるということを十分踏まえて、財政に対しても責任ある行動をとっていかなければいけないと思います。

森田 最近、周りの色々な方の話を聞くと、もう政治のニュースは見たくない、与野党も含めて古い政治家の顔は見たくないという人が増えてきました。こうした中で立憲民主党の党首が新しい世代の泉さんになって期待している人も多いと感じます。こうした期待にどう応えますか。

 2009年の政権交代は、国民が待望し、熱狂した政権交代でした。しかし3年3か月で頓挫し、受け皿というものが大きく割れてしまったわけですよね。ただ、やはり我が国には政治の転換が必要で緊張感のある政治が不可欠です。改めて今一度、日本の政治に緊張感を取り戻し、国民が政権を選べる、政治の方向性を選択できる国にするために、そしてこの数十年間凋落を続けてきた日本を大きく転換させられるように頑張ると、その決意で取り組んでいます。

新技術導入で世界のモデルとなる農業を

森田 最後に、全ての日本の農業者が希望を持って農業に勤しむことができる、先進的な農業国を創り出していくためにどう取り組んでいくのか、お考えを聞かせてください。

 私の父が畜産関連の仕事をしていたので、農林漁業には大変親近感を持っています。歴史的に人類の文明史で言えば、地球と最も共存してきたのが農業だと思います。そう考えると、日本のこの豊かな自然風土を守るためにも、小規模も含めた農業者を大切にすることが大事です。一方で我が国は、世界的な技術立国で先進国でもあるわけですから、新しい技術を導入して、効率のよい、負担の少ない農業を小規模でも目指すことができる、それを世界のモデルとすることができる国だと思っていますので、そうした農業の実現に向けてリーダーとして取り組んでいきたいと思います。

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